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【Special Report】SDGs 17のゴールから持続可能な未来のアクションを考える| empablic×シティラボ東京 Collective Impact for Tokyo Sustainability vol.1

2019年1月31日、Collective Impact for Tokyo Sustainability vol.1「2030年代を生きる子どもや若者たちのためにSDGsのできること」を開催しました。当セミナーはエンパブリックとシティラボ東京が共催する連続プログラムの記念すべき第1回目。SDGsの17のゴールをきっかけとした持続可能な社会づくりにむけて、参加者それぞれが自らの問題意識や経験を持ち寄り、未来の子どもたちのためにできるアクションを考えました。 写真/シティラボ東京、構成・文/折田 千秋    

SDGsに向き合う専門家たちによる、現在と未来

セミナー冒頭のイントロダクションではまず、エンパブリック代表の広石拓司さんが2015年に「国連持続可能な開発サミット」で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)について解説し、産業革命以降続いてきた経済成長のあり方や、20世紀型の社会システムとは全く異なる世界をつくり出すというSDGs時代の前提を参加者と共有しました。

貧困や社会的排除問題の解決を目的としたMDGsと、それらに加え地球環境問題の解決も加わったSDGsには前提に大きな違いがある。

世論調査によると、日本の未来を明るいと考えている人は全体の1/3程度であり、残りの2/3は明るい未来を見い出せていません。そのような状況では、次世代の主役となる子どもたちが明るい未来を想像できるはずがありません。それを突破するための第1ステップとして、まずは「大人」である私たちが現在・未来について話し合いをするのが重要だと広石さんは語ります。

「こうあってほしい未来」について様々な職業やバックグラウンドを持つ参加者から多様な意見が飛び交った。

続いて、一般社団法人環境パートナーシップ会議副代表理事を務める星野智子さんは、「子ども・若者の未来を拓くためのSDGsの活かし方」について話題を提供。 地球に暮らす私たちを取り巻く多くの社会課題がどのように連鎖しているかを、身近な「安く販売されているお弁当」を例に挙げて解説しました。
「安く販売されているお弁当」が普及し、手軽に手に入ることによって、食生活の利便性向上や農業の効率化が起きています。一方で、栄養の偏りや農薬・添加物使用による土壌の汚染など、人体や土地への健康被害が見えないところで脅かされているのです。

私たちを取り巻く社会課題とその関連性について説明する星野さん。

イントロダクションのまとめは東京都市大学環境学部教授の佐藤真久さん。トークのテーマは「子ども・若者の未来を拓くためのSDGsの活かし方」です。 これからは変化していく社会の情勢に対して、“問題の捉え方を変えていく”ことが重要だといいます。現代は人口の変動や技術革新など、私たちを取り巻く様々な環境の変化に加え、グローバル化という国境を超えた変化も著しい世の中です。それゆえ、現在は2000年代とは異なる社会問題・社会課題が生まれ、より複雑化してきているといいます。
これらの現代の課題を捉え解決していくために、統合的、文脈的、批判的、変容的な4つの視座が必要です。

現在の課題を深掘りし、未来のことを語り合う

プログラムの後半では、4つのグループに分かれてワークショップを進めました。テーマは「2030年代、40年代へのシフトを考える」。参加者同士の対話を通じて、それぞれが関心を持っているテーマや、これからの未来でシフトしてほしい事柄を意見交換しました。 「役所の手続きなど、日本の制度は外国人にとっては不便すぎるのではないか?」、「ロボットが仕事に参入するようになったら雇用はどうなる?」など、身近な課題について多種多様な意見が交わされました。

個人ワークを手がかりに参加者の問題意識が共有される。

参加者の対話の中から、新しい未来を描くための提案も自然と生まれていきます。ある班では、修学旅行先を定番の京都から農村に変更し、泊まり込みで農家体験をしてもらうことで、学生は学校では学べない新しい経験や知識を身につけ、農家は技術の伝達や会話をするという修学旅行の新たなあり方も提案されました。

意見交換に自らも参加した佐藤さんは、セミナー最後のまとめのコメントの際に、人間の成長のために必要な「12の態度」を紹介。その中には多様性を理解する、少数の立場を理解する、異なる視座と寛容性をもつなど、SDGsがめざす「誰1人取り残されない社会」をつくるための様々なスタンスが含まれています。

総括として、「12の態度」を紹介する佐藤氏。

20世紀の常識が通じない社会が訪れるかもしれない現代。ビジネスや教育の在り方を、自らとは異なる視点から改めて捉え直し、個々人がポジティブなメッセージを打ち出していくことが必要となるでしょう。 本シリーズでは、これからの持続可能な社会に向けた様々な取り組みをテーマに、主催者と多くの参加者が対話し気づきを得ながら、実現を目指す足掛かりを得ていきます。 第2回は2月28日に決定。皆様の参加をお待ちしています。 【Information】 empublic×シティラボ東京 Collective Impact for Tokyo Sustainability vol.2 みどり豊かな都市「東京」を実現するには何が必要か? ~暮らしやビジネスで、もっと緑を活かし、SDGs時代に魅力ある東京を実現するには? <日時> 2019年2月28日(木) 18:45~21:30
<会場> シティラボ東京(東京スクエアガーデン6F、京橋)
<プログラム>
1.イントロダクション SDGs時代の都市の自然資本を考えよう
広石拓司(empublic)
2.東京をみどり豊かな都市とするために
佐藤留美(Green Connection TOKYO 代表理事)
3.みどり豊かな都市へのチャレンジ
実践者のみなさんより(TBA)
4.対話「身近な緑をどう活かしたい? どんな緑を暮らしや町で活かしたい?」
5.SDGs時代に緑を都市の持続可能性につなげるには?
佐藤真久(東京都市大学環境学部 教授)
6.対話「みどり豊かな東京を実現する、2030年へのアクションは?」
7.ふりかえり
<申し込み>http://ptix.at/gN5PRI
<共催> empublic×シティラボ東京、NPO法人 Green Connection TOKYO