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【Special Report】「ヒト×モノ×カネ」から垣間見える、サステナビリティベンチャーの魅力-City Lab Ventures03-

2019年10月3日、シティラボ東京(東京・京橋)でイベント「サステナビリティベンチャーのここでしかできない話「ヒト×モノ×カネのリアル」が開催されました。これは、サステナブルな社会の創造とベンチャービジネスの成長の実現を目指すサステナビリティ特化型ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures」による3回目のオープンイベントです。

登壇したのは、株式会社TBM、株式会社ウィファブリック、株式会社DG TAKANOの各社代表。「City Lab Ventures」発起人企業6社のうち3社。株式会社TBMサステナビリティ・アクセラレーターの羽島徳郎氏を司会進行役に、サステナビリティ特化型ベンチャーの最前線を走る3人ならではのエピソードをお話いただきました。

写真/鈴木愛子、構成・文/吉川明子

社会課題への問題意識から生まれた先端サステナビリティ企業たち

参加者は、サステナビリティベンチャーへの興味をもつ20~50代。当初の想定よりも幅広い世代から60人超が集まりました。

株式会社TBMサステナビリティ・アクセラレーター羽島徳郎氏(以下、羽鳥):「City Lab Ventures」は2019年4月に発足したばかりの組織です。サステナビリティベンチャーというカテゴリーの中で、ベンチャー企業同士だけでなく、政府や自治体、金融機関、大企業といった他のプレイヤーともつながる場をつくることで、サステナブルなビジネスを強くしたいというのがこのコミュニティの思いでもあります。さて、まずは登壇者の皆さんがそれぞれどういうことをしているのかお話いただきましょう。

株式会社ウィファブリック代表取締役 福屋剛氏(以下、福屋): 私はアパレルや繊維商社で働いた後、2015年に起業し、繊維ファッション業界のフリマサイト「SMASELL(スマセル)」というサービスを運営しています。当サービスはBtoB版のメルカリ、とでも言えばわかりやすいかもしれません。実は、アパレル製品の廃棄枚数は世界中で228億枚にも上ります。そこで、在庫を処分したい企業と必要としている企業を、オンライン上でグローバルにマッチングさせ、即売買できる仕組みを構築しました。これは、アパレル製品の在庫問題を速やかに解決する仕組みでもあります。かつては私も大量にモノをつくって捨てる側の人間だったわけですが、無駄の多い繊維ファッション業界を変えるために起業しました。

株式会社DG TAKANO COO横山創一氏(以下、横山): 当社では節水機器をつくっています。詳しく言いますと、最大95%節水でき、かつ無電力で水をバブル化する機器をつくる技術を持っています。この技術は、同時に洗浄力も向上させることが可能です。とはいえ、そもそも節水機器をつくるために会社を創業したのではありません。創業者の高野雅彰が社会課題をデザイン思考とビジネスで解決していきたいと考え、まずは水問題を解決できるソリューションに取り組み、「Bubble90」という節水機器に辿り着きました。DG TAKANOイコール節水機器の会社ではなく、社会課題を解決する会社として捉えていただきたいと思います。

株式会社TBM執行役員 CMO 笹木隆之氏(以下、笹木): 私たちは、石灰石を主原料とした「LIMEX」という独自素材の開発、製造、販売を行っているベンチャー企業です。石灰石のことを英語でライムストーンといいますが、そこから派生する無限の可能性を表す「X」と掛け合わせてこの素材をLIMEXと命名しました。
LIMEXは大きく分けて2種類あります。ひとつはプラスチックの代替製品となるもの。従来のプラスチックと比べて石油由来の樹脂の使用量を大幅に削減することができ、世界的に注目されているプラスチック問題への貢献が可能です。もうひとつは紙の代替です。約1トンの紙をつくるのに約85トンもの水と約20本の木を使うと言われています。これらの木や水を使うことなく、石灰石を主原料とした紙代替製品を提供しています。石油や水、木という地球資源を保全し、さらに安価な石灰石を主原料とすることで、コスト競争力にも優れていることから「エコノミーとエコロジーの両立」実現を目指しています。

会社名をLIMEXではなく、TBMにしていることを疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。これは、Times、Brigde、Managementという単語の頭文字を組み合わせたもの。“次の時代に橋を架ける挑戦をし続ける会社でありたい”という思いを込めています。

ヒトは“熱意”と“思いやり”、カネは“着眼点”がポイントに

羽鳥:これからディスカッションに移ります。ヒト、モノ、カネのぶっちゃけトークの1つめは「ヒト」。どのような社員がいるのか、また、ぶっちゃけ活躍できない人材とは? という話をまずお願いいたします。

福屋:うちの会社は変なヤツが多いですね(笑)。これから急成長していこうという段階で、社会や世界を変えたいという人が集まってきているのですが、そういうマインドを持っている人は不思議と変わっていたり、面白い人が多いようです。

笹木:当社の社員に共通しているのは、世の中にインパクトを与えたいと思っていること。そして、世代の幅が広いことが特徴です。採用を担当しているチームは、今年24歳になる3人の社員とインターン生という構成です。一方で当社の会長は90歳、最高顧問の野田一夫先生にいたっては92歳! 社長はシニア活用という言葉を使いません。“日本発世界”を目指したいと考える人はシニア世代にもいらっしゃるので、当社に幅広い人材=世代が集まっていることは、”製造業のベンチャー”という当社ならではの特徴だと思います。

横山:当社は東京と大阪にオフィスがあります。東京は8人、そのうち日本人は私と社長の2人だけであとは外国人。彼らは日本語を完璧に操り、全くグローバル対応していない私と社長をサポートしてくれています。ですので、英語が喋れない方が入社しても大丈夫です(笑)。

羽鳥:反対に、「活躍できない人材」についてもお聞かせいただけますでしょうか?

横山:ベンチャーは個人の裁量が大きいので、自分が定めた目標に対して、自力で向かっていくくらいじゃないと活躍できないかもしれませんね。

福屋:ベンチャーの仕事量はかなり多いので、一人で抱えると潰れかけてしまうこともあります。そんな同僚に手を差し伸べられる人間でないと厳しいですね。自分の仕事が終わったから、「お先に失礼します」ではなくて、困っている人がいたら「大丈夫?」と言える、誠実で優しさのある人がいいと思います。

羽島:次は「モノ」について聞いてみましょう。DG TAKANOさんはプロダクトであるBubble90、ウィファブリックさんはネットを通じたアパレル製品取引サービスSMASELL、TBMさんはLIMEXという素材というように、それぞれモノが介在しています。私たちはサステナビリティベンチャーとして集まっていますが、実際のところ本当にサスティナブルなのか? ということと、グローバル展開についてお聞きかせください。

笹木:当社はサステナビリティに関してしっかりと情報開示していますので、ぜひホームページにアクセスしてみてください。司会を務めている羽鳥は当社のサステナビリティ・アクセラレーターですが、代表の山崎が今年27歳になる彼に、「エコロジーとエコノミーを両立できそう」「これは環境に悪くない」と言わないと開発を進めないという権限を与えているところからも、サステナビリティに本気で取り組んでいることが伝わるのではないでしょうか。

福屋:ファッション業界自体がサステナブルではありません。経営者の考えを変えないと業界全体が変わらないという部分があるので、SMASELLというプラットフォームを介して啓蒙し、サステナブルな企業を増やす戦略をとっていきたいと考えています。グローバルに関しては、当初から私たちは国境を超えるつもりで活動していたので、販売にインターネットを活用したのはもちろん、公式ホームページは世界各国の言語に対応しています。

羽島:なるほど・・・。そしていよいよ「カネ」の話題です。「ぶっちゃけ儲かる?」「事業成長性はどうなの?」といったお話を中心にお願いします。

横山:当社は事業としては黒字で、2020年4月には一般向けの市場にも参入予定です。日本市場でもそれなりに稼いでいますが、やはり海外のマーケットを目指したいですね。世界各地では水戦争が勃発していますから。一方、日本は水には相当恵まれているものの、実は水の少ない地域も少なくありません。そのような地域に展開すれば、かなりの商機があるのではないでしょうか。

笹木:水でいえば、私たちも水資源が乏しく、紙を輸入に頼っている国で新たに産業をつくろうとしています。例えば、サウジアラビアは紙を、100%輸入に頼っています。一方、石灰石は豊富に自国にあります。LIMEXは既存の工場や施設を活かしてつくれることから、現地のニーズに合わせて循環型の産業モデルを生み出すことも、私たちが目指すべきビジョンのひとつです。

福屋:儲かるかどうかで言えば、正直なところ儲かってはいます。今、ヤフオクとメルカリ、ラクマで1兆5000万円の流通規模があります。法人はこのマーケットを無視していたわけですが、こうしたサイトで商品を販売している人たちは仕入先がないのが現状でした。そこで当社が、企業が廃棄予定の商品を安価で仕入れられるようにしたわけです。1兆5000万円の10%の仕入れ元になるだけでも1500億円もの流通を生み出せるので、そこに狙いを定めて事業を確立させたいと思っています。

羽鳥:それぞれの会社のカラーが見えるお話ばかりで興味は付きないところですが、最後に各社がどんな人材を求めていらっしゃるかお話ください。

福屋:ファッション、IT、サステナビリティというキーワードに興味がある人でしたら、うちの会社は結構ハマると思います。繊維ファッション業界が抱える廃棄問題を解決するSMASELLの成長を加速させて、一緒に業界を変えていく人を求めています。今、特に、当社が求めている人材はBtoBの新規開拓営業です。繊維ファッション業界の経験は必須ではなく、人材紹介や不動産仲介など、BtoB営業に強みのある業界の経験者に広く応募していただきたいですね。2023年のマザーズ上場を目指していますので、入社後、ストックオプションを付与します。これは、自分のがんばりが企業の成長につながることを体感できるポイントではないでしょうか。
あらゆるクリエイティブな力を結集して、本来ファッションが持つ力を再生させ、環境としても業界としても、持続可能なものに変革していくことが企業理念です。その前提として、社員には優しく誠実である、いかなる状況にも謙虚に向き合う、といった人として当たり前にできるような行動指針を確立させたいと思います。

横山:さきほども申し上げましたように、当社は節水機器をつくっている会社ではありません。さまざまな社会問題をビジネスモデルとデザイン思考で解決しようという気概を持った人こそウェルカムです。「自分の原体験としてこんな社会問題があって解決したいけど、自分ひとりではどうしたらいいかわからない」という人に対しては、DG TAKANOが資金や社内リソースといったバックアップを行い事業開発できますので、新規事業を起こしたい人に向いています。社員が一緒に夢を叶えていける組織を目指していますので、ぜひ来てください。

笹木:「進みたい未来へ橋を架ける」という挑戦に、一つのチームとして全員で取り組むという姿勢で事業を進めています。「過去を生かして未来をつくる、100年後でも持続可能な循環型イノベーション」をビジョンに掲げており、そこには、石灰石は昔から様々な形で活用されていたことから、先人の知恵や知識をしっかりと次世代に活かしていきたいという思いも込められています。

当社の現在のフェーズでは異例だと思いますが、凸版印刷や大日本印刷、伊藤忠商事などのお力添えで、107億円の資金調達を行いました。現在、社員数は136人ですが、これからどんどん社員を増やしていく予定で、更なる事業拡大の加速に向けて全てのポジションでの採用を進めています。当社には多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっているだけに、コミュニケーションの力を大切にしています。社員に求めるものは、即戦力よりも価値観。どうしたら成長できるか、物事に感謝できるか、謙虚でいられるかが重要です。

イベント終了後の交流会はサステナビリティベンチャーの第一線で活躍する3社のメンバーと直接話せる機会であり、さまざまな業種、職種のビジネスパーソンとの出会いの場でもあったことから、多くの参加者が楽しみつつ積極的に交流を図っていた様子。今後のCityLabVenturesによるイベントにも期待が高まっているようです。

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