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2019.12.16 City Lab Venturesオープンイベント05 Operation Green報告・勉強会 〜オフィスから始めるサステナブル経営〜

サステイナブルな社会の創造とベンチャービジネスの成長の実現を目指すサステイナビリティ特化型ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures」によるオープンイベント第5弾! 今回はアース・カンパニーとCity Lab Venturesのコラボレーション企画です。
一般社団法人アース・カンパニーは、「次世代に残せる未来を創出する」をビジョンに、社会変革を起こす人と団体の支援・育成プログラムを展開しています。今回の「Opreration Green(以下、「OG」)」も、その一環です(※)。
エコ施策に取り組む際、各々の情報に個別にアクセスするのでは手間がかかり、各施策の効果やコスト、取り組み方なども悩みどころです。「OG」は同法人がバリ島で手掛けるエコホテルでの経験をもとに、「情報整理・ツール開発・導入支援」の観点からエコ施策の推進を支援するプログラムです。
※独立行政法人環境再生保全機構が運営する地球環境基金の支援を受けて実施

Operation Greenから考えるオフィスのエコ施策

第1部では、アース・カンパニーの濱川知宏さん・明日香さん、藤本さんより、同法人の取り組みや「OG」の概要が、続いて自然電力グループの北さんとナオライの三宅さん、鈴木さんよりエコ施策導入の具体例が報告されました。
自然電力グループは、事業目的に「青い地球を未来につなぐ」を掲げています。エネルギーだけではない環境問題にも取り組むことが必要という気付きから、今回は「水(節水)」と「廃棄物(プラスチック)削減」の2点に着目し、社員有志によるプロジェクトチームを中心に、オフィスのエコ化に取り組みました。
節水では、DG TAKANOの節水ノズル「Bubble90(後述)」の設置やトイレ水量の調整、廃棄物削減では、現状の見える化やキャンペーン・イベントを実施しました。「OG」のモニタリングシートの改良、廃棄物マニフェストの電子化・詳細化、社内アンケートなどを行っています。
「関心はあるが従来の理解で止まっている」層に着目してワークショップなどを行た結果、社内の問題意識が高まった一方、個人を越えた会社やまち全体でのしかけづくりの必要性が浮かび上がってきたとのことです。
なお、自然電力とDG TAKANOはCity Lab Venturesの発足企業で、アース・カンパニーもCity Lab Venturesに新たに参画したことから、今回のコラボレーションとなっています。
ナオライは、年々縮小していく日本酒業界の中、「時をためて、人と社会を醸す」をビジョンに掲げる日本酒のスタートアップです。広島県の三角島で、特産のオーガニックレモンを使った「MIKADO LEMON」の開発、大学や他企業とも連携したLemon Valley構想を推進しています。
現在は神石高原町で酒蔵をつくり、日本酒から35〜40度の低温蒸留でつくる新しいお酒「浄酎」を開発しています。一般的な日本酒と異なり、熟成による価値が出て常温輸送(輸出)にも強いお酒となるそうです。
これらの取り組みにより、空き酒蔵の再稼働、酒蔵の在庫削減、日本の田んぼの有機化といったソーシャルインパクトを目指しています。「OG」を通して「水(機械洗浄・汚水の循環)」、「瓶(回収のしくみ・梱包の工夫)」、「電力(持続可能な電力の使用)」を目指すとのことです。

その先のサステナブル経営に向けて

第2部では、レコテック株式会社の野崎さん、自然電力グループのエコ施策で協働した株式会社DG TAKANOのアムロさんからのレクチャー、登壇者全体でのトークセッションを行いました。
レコテックは、「テクノロジーでごみを資源に」すべく、廃棄物コンサルティングなどを行っています。そもそも「ごみ」とは一体なにか…。レクチャーは根本的なところから始まりました。処理にお金がかかるもの?その人にとって不要なもの?分解に長い時間がかかるもの?この様な問いかけを念頭に置きつつ、海洋プラスチックやフードロスなどの最新状況を学んでいきました。
環境問題という世代を超えた利害関係で自発的な動きを促進するためには、法制度やリサイクル技術に加え、行動の動機となる教育も重要です。また、専門家の視点としては「回収」が大事とのこと。ごみを出す人と使う人をセットで考える解決策もありそうです。
続いて、自然電力グループの節水で協働を行ったDG TAKANOのアムロさんからレクチャーが行われました。同社の節水ノズル「Bubble90」は最大95%の節水を行いながら洗浄力を高めるもので、通常の利用で自然と節水ができます。最初の1年間は1個も売れなかったということですが、その後4年間で2,600の企業が導入、レストランやスーパーなど25,000箇所に設置されました。
現在、世界では21億人がきれいな水を使えない環境にあり、2030年には27億人以上が水問題で困ると予測されています。さらに、各国により水の使い方も異なるなど、グローバルな水問題の話が聞けました。
最後は、全体でのトークセッションです。エコ施策導入のきっかけは、自然電力グループの様にテナントビルで取り組みやすい手法から始める、ナオライの様に製品・流通に関わる素材・容器を自然の観点から見直すなど、色々なパターンが考えられそうです。
また、Bubble90は、当初は環境をアピールしたが売れ行きが伸びず、水道代節約や投資回収期間などを説明することで売上が伸びたとのことです。野崎さんからは、法律整備で環境対策にコスト面での合理性が出てきた、優秀な学生を採用するためにも環境対策が重要といった社会背景の解説がありました。経済や社会が一体となることで環境対策も進展します。
環境問題の表面だけでなく対策も含めた社会循環を一体的に見せる、廃棄ロスなどネガティブ面も情報公開するといった対策も考えられます。具体的なエコ施策の体験をふまえつつ、サステナブル経営が浸透していく社会に向けて議論が拡大するセッションとなりました。