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【Event Report】東京のワクワクする未来を考える 都市計画家 饗庭伸×建築家 藤村龍至

2020年10月12日(月)、東京都立大学大学院都市政策科学域教授の饗庭伸氏をコーディネーターとして、東京藝術大学美術学部建築科准教授、RFA主宰の藤村龍至氏をゲストとしてお迎えし、「東京のワクワクする未来を考える」対談が行われました。当イベントには全国から約75名がオンライン参加しました。 本イベントは、コロナ禍で世界が同じ問題に直面し、ネガティブになっている今こそ、それをポジティブに変換して「ワクワクする未来」を考えようという連続イベントの第2回目です。(第1回目のレポートはこちら)今回は東京の郊外をテーマとして、饗庭氏は都市像・設計・空間・歴史と未来の4つの論点から、藤村氏は建築家、磯崎氏が提示した都市革命の図式をもとに、2020年以降25年間の「超都市」の時代の視点から議論を行いました。

■饗庭氏プレゼンテーション 〜 4つの論点

まず、饗庭氏からワクワクする東京の未来を考える上で、都市像・設計・空間・歴史と未来の4つの論点について説明がありました。「都市像」については、“都市としての東京”と“国土インフラとしての東京”の2つの視点から都市はどう見えるか、「設計」については、都市を資源を調達する空間と定義した上で、計画学・土木学のどちらの観点で見ても不自由になってきているのではないか、「空間」については、ただ人口が減少していくだけでなく安定した状態(定常化)となり、その中でどういったことができるか、「歴史と未来」については建築と同様に都市計画を25年スパンの変化を見ると今、何らかの変わり目が来ているのではないか、といった問題提起を行いました。

■藤村氏プレゼンテーション 〜 大都市から超都市へ

次に、藤村氏が「大都市から超都市へ」というキーワードを提示しました。超都市とは都市 – 大都市の次のフェーズの都市像を示しています。建築家、磯崎新氏が 記述した25 年周期での都市変革の図式をもとに、2020年以降は大規模データセンターと情報網によるクラウドシステムがきっかけとなり、「超都市」の時代がくるのではないかと話します。一方で、同氏の鳩山ニュータウンのプロジェクトを例に郊外特有の空き家の発生傾向やそこに集まる人についての説明がありました。郊外はクリエイティブ産業で新しくチャレンジする人にとって経済的にメリットがあり、両者を踏まえた超都市時代における知の再配置の可能性が郊外にあると言います。
左上:饗庭氏、右上:藤村氏、下:矢野(シティラボ東京)

■クロストーク/Q&A

クロストークでは、4つの論点をもとに議論が展開します。「都市像」についてはCOVID-19の影響で自分たちの周囲の魅力に気づき始めたり、データセンターによって東京の国土インフラ性は弱まるのではないかと饗庭氏。藤村氏は小さな経済圏の発見やそれを作ろうとする取り組みによって、都市としての郊外を作る動きが出てくると言います。「空間」、「設計」については、定常化を仕掛ける上で、伝統を維持するだけでなく新しい人や価値を挿入するといったように、地域の格を落とさずにずらすこと、またクリエイティブ層が住んでいることなどをプロモーションしていくことが必要だと言います。空き家と第二次産業とが結びついていくことに活路があるのではないかという議論もありました。「歴史と未来」については、参加者からの質問も交えて大都市と超都市のメリットやデメリットについて議論されました。

■超都市としての郊外

参加者の方からは、質問をたくさんいただきましたが、最後に各登壇者の感想をもってイベントを終了しました。饗庭氏からは「超都市というのビジョンの中で様々な場所に可能性が均等にある状態で、それぞれの可能性を探っていければ」と、藤村氏からは「郊外の経済的負担を減らすことができるという視点だけではなく、知識産業の移転、それに伴う建築について考えること。等身大の課題という点でワクワクしている」と締めくくりました。 未来ビジョンを見据えることで、様々な可能性に気づくことができました。その可能性が未来のワクワク、そしてワクワクしながら課題に取り組むことにも繋がるのではないかと思いました。各回のイベントは、重松健氏、饗庭伸氏のどちらかがコーディネーターとして出演し、ゲストと東京の未来像について議論します。次回も引き続きお楽しみください。   【開催概要】
■コーディネーター: 饗庭伸(東京都立大学大学院都市政策科学域教授)
■ゲスト: 藤村龍至(東京藝術大学美術学部建築科准教授/RFA主宰)
■モデレーター:矢野拓洋(シティラボ東京)
**************
■日時:2020年10月12日(月) 20:00〜21:30
■会場:オンライン
■主催:シティラボ東京(一般社団法人アーバニスト)
[タイムライン]
20:00 20:10 イントロダクション
20:10 21:10 プレゼンテーション/クロストーク
21:10 21:25 Q&A
21:25 21:30 クロージング
21:30 22:00 アフタートーク