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“スロー”を実感できる場所〜公園が変わるとまちが変わる!?〜

2022年7月6日、建築家の西田氏とシティラボ東京がともに企画した連続対談の11回目「”スロー”を実感できる場所~公園が変わるとまちが変わる!?~」を開催いたしました。本イベントではこれまでの全10回の対談で見えてきた”スロー”シティの輪郭を、より豊かに描き出すことを目的として対談を進めていきます。ゲストにはNPO法人のGreen Connection TOKYO代表理事 / NPO birth事務局長の佐藤留美さん。オンライン・オフラインで約45名が参加しました。   目次 ◆地域のチカラを引き出すパークマネジメント 〜佐藤留美さん〜
◆クロストーク ~公園とまちの関係~
◆”スロー”につながるキーワード

■地域のチカラを引き出すパークマネジメント 〜佐藤留美さん〜

佐藤留美さんは、現在NPO birthとして東京都内の72の公園の指定管理やアドバイザー派遣を行い、15㎡〜200haの小さなものから大きな公園まで管理・運営、人材の育成などを実践しています。また、Green Connection TOKYOとして、都市のグリーンインフラをまちづくりに利活用するための産官学民のプラットフォーム(中間支援組織)を運営しています。
都市のみどりをベースに持続可能なまちづくりを実現するという視点から、SDGsウェディングケーキに準えて、新しいパークマネジメントのあり方を解説しました。また公園緑地など都市のグリーンインフラを生かした国内外の事例を紹介しました。ニューヨークのハイラインやソウルの京義線スッキル公園/ブックストリートなど、海外でもグリーンインフラを核とした地域の活性化がトレンドになっています。  

そのような佐藤さんが行っている公園管理は、単に植栽管理や清掃といった維持管理に留まりません。健康づくりや教育・福祉の場、文化の発信や地域経済活性化の拠点としてなど、公園はさまざまな機能を発揮できると言います。地域との連携で関係人口を増やし、人流や物流を生み出すことで、公園を拠点にイノベーションが起こり、地域が変わっていく。そのような公園の可能性について言及しました。

■クロストーク~公園とまちの関係~

佐藤さんの話を受けて西田さんとのクロストークが始まりました。  

これまでの公園といえば、公園をつくっても経済的に儲かるわけでもなく、どちらかといえば建物を中心に補助的なものとしての考え方になってしまっていたのではないか。しかし、佐藤さんの活動のように解像度を上げて公園を見てみると、文化や教育など今までは建物が担っていた役割を含めて公園でいろいろなことができ、これまでの「公園とまち」の対立関係ではなく、それらを繋いで考えることができると西田さんは言います。  

例えば、都市の自然のあり方の一つとしてロンドンのREWILD MY STREETでは、隣の家同士は垣根で仕切られているものの、自宅の庭先に穴を堀ることで、地中ではハリネズミが通れるようにした事例の紹介が佐藤さんからありました。住人の庭であると同時にハリネズミのための庭でもあり、ハリネズミをきっかけにコミュニケーションも生まれると言います。
人間のためだけの都市ではなく、人間も含めた生態系の中での都市を考えていくこと、またそこで生まれる関係によって自然や他者との付き合い方をわかるようになるのではないかと西田さん。そしてこれは第8回で登壇したスローサーカスの金井さんの「効率だけを求めるのでなく、色々な人と関わり共存することによってwellbeingにつながる」といった話にもつながると言います。  

他にも、コロナによって公園に関わる人が増えたことで起きた問題やそのまちの変化、公園周辺まで視野を広げると経済的にも公園が大きな役割を果たしていること、また経済的な影響も考えることができる公園をつくるためのポイントなど議論が広がっていきました。
オンラインや会場の参加者からは「パークマネジメントの視点から地域の連携先にどのような変化があるのか」や「一市民が閉じられた公園を開くにはどのようにすればよいか」などの質問があり、参加者を巻き込んだクロストークを終了しました。

■”スロー”につながるキーワード

公園は全ての人々に開かれているオープンスペースです。地域のエリアマネジメントにおいて、公園は重要な資源であり、そのポテンシャルを活かせるかどうかが、まちの将来を方向づけるといえます。   今回の対談では”スローを実感できる場所”をキーワードに進めました。スローを実感できる場所として公園があり、公園、さらにはまちが良くなっていくために、
①これまで関わりのなかった他者との関係がwellbeingな状態を作ること
②そのつながりを作る中間支援組織や仕組みづくりが必要なこと
③所有から共有に意識が変わることによって新たな経済が生まれること
④長い視点で物事を見ることで、失敗を許容しながら進める感覚を持つこと
といった”スロー”の概念を補強するヒントを得ることができました。
  “スロー”を実感できる場所を探すトークはまだまだ続きます。次回、9月6日は、LIFULL HOME’S 総研所長の島原万丈さんをお招きして開催予定です。シティラボ東京会員になると全11回のアーカイブも視聴できます。イベント参加と併せて是非ご検討下さい!     なお今回、素敵なグラフィックレコーディングをNPO birthさんに作成いただきました。
是非ページの最後をご覧ください。
 

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