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【Event Report】建築家・西田司氏対談 ~ポスト・コロナを探る~第1回 米・ポートランドへの移住、暮らしを背景に見えたもの

2020年6月7日(日)、シティラボ東京アンバサダーの建築家・西田司氏とシティラボ東京がともに企画した連続対談「~ポスト・コロナを探る~ 目指すべきは“スロー”シティ」の第1回を開催。第1回はカヤックLiving及びみずたまラボラトリー代表取締役の松原佳代氏です。ナビゲーターを務める西田氏が、移住先の米・ポートランドとコロナ禍で変容していく現地の様子や日々の暮らしなどについて話を伺いました。シティラボ東京初のオンラインイベントで、首都圏のみならず全国から40名の参加がありました。
対談は西田氏が移住の理由などについて問いかけ、緩やかにスタートしました。松原氏は2019年8月に、神奈川県鎌倉市から夫と息子2人と共に米・ポートランドに移住。移住にあたっては、今までの価値観で測れない「多様」に触れ、自らの価値観に変革をもたらすのではというモチベーションがあったと話します。移住後はリモートワークを活用して日本各地のスタッフとやりとりしながら、以前と変わることなく広報・PR関連会社などの代表取締役としての業務の他、移住サービス「SMOUT」の立ち上げなど精力的に仕事をこなしてきました。
移り住んだ米・ポートランドのあるオレゴン州には都市化と自然環境保護を両立する目的の都市成長境界線が設けられ、開発できる地域が限られています。そのため、まちは豊かな自然に囲まれ、ゆったりとした雰囲気をたたえています。また、ともにストリート・ペイントといった「シティ・リペア」を行うようなコミュニティの活動が活発なこともその雰囲気を生む一因かもしれない、と松原氏は話します。
移住後、約半年で始まったコロナ禍。家族そろってのステイホームで、これまで見えていなかったさまざまなことが明らかになったと言います。オンライン学習は3月から9月まで続くため、仕事中心の生活から子どもとともにいることが前提の生活にシフト。学校の対応はスピーディで、それぞれの教師は教えるだけでなく、自身の家族も巻き込みながら生徒が楽しめる仕掛けを用意していました。その一方、松原氏は子どもたちのオンライン学習を通じて学校の教え方を知り、国語や図工など時間をかける“スロー”な教育や、考える過程を教えることの難しさに気づきました。
5月末の警官の黒人への暴力から起こったアメリカ全土での「Black Lives Matter」デモやそれにまつわる暴動なども含め、これまでの常識では計り知れない出来事を目前に、松原氏は「移住による価値観の変化」の意味を問い直したそうです。
移住のみならずコロナ禍での生活の変化まで短期間に経験し、松原氏は「これまで親しんだ場所・生活を離れるときには、一旦『便利・効率』をそぎ落とすことが必要になる。それはネガティブなことではなく、効率で流されていないからこそ多くの価値に気づける」と松原氏は考えています。
最後に西田氏は、「人は変化に弱いものの、地域の価値を感じるなど小さなステップで成長していくのですね。移住は(自身の)変化を楽しむモチベーションと言えそうです」と結びました。多様な価値を受け入れ価値観を変革していく松原氏の生き方、多様性を受け入れるポートランドのコミュニティなど“スロー”のヒントが得られる第1回となりました。
なお、第2回の対談は7月7日(火)20:00~、ニューヨーク市公園局 都市計画&GISスペシャリストの島田智里さんをお迎えします。次回もどうぞご期待ください。

【開催概要】

■ゲスト:カヤックLiving兼みずたまラボラトリー代表取締役 松原佳代
(米・ポートランド在住)
■ナビゲーター:西田司(建築家、東京理科大准教授)、介川亜紀(シティラボ東京)
**************
■日時:2020年6月7日(日) 13:00〜14:30
■会場:オンライン
■主催:シティラボ東京
[タイムライン]
12:55〜開場
13:00〜開会・イベント趣旨説明、シティラボ東京の紹介
13:10〜対談
14:00〜質疑応答<15分>
14:15〜まとめ
14:30 終了
 

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