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2019.07.13 日本都市計画家協会×シティラボ東京 連続セミナー|こどもを生み育てたくなるまちづくり-まち保育のススメ-

まちで子どもを育てる・子どもがまちを育てる

人口減少・少子高齢化の時代を迎えて、子どもを生み育てることの重要性が高まっている一方、核家族化や共働き化が進むなど社会・経済的な変化から、子育て環境は楽観視できません。このような状況に対応するため、子どもと共にまちも育つという「まち保育」の考え方と実例を学び、まち保育の実現に向けたまちづくりの方向性と課題について展望しました。

日本都市計画家協会では、都市計画に関わるトピックをとりあげた「都市計画力アップ連続セミナー」を開催しています。当セミナーではその1テーマとして、保育所に関わる市民、子育て中の方、子育てを意識したまちづくりの関係者など24名が参加しました。

当日はまず、子どもの未来サポートオフィスの米田佐知子氏が、こどもを取り巻く現在の環境や居場所づくりの取り組みを紹介しました。近年、こども食堂などが有名になっていますが、フリースペースや自然体験学習、冒険遊び場、みちあそびなど、従来の居場所活動・まちづくり手法で、まち保育につながるものも多くあります。

続いて、NPO法人孫育て・ニッポン理事長の棒田明子氏が、「他孫(たまご)」や子育てにいろいろな人の力を+(プラス)する「他育て」の概念、「産後ママカフェ」などの取り組みを紹介しました。少子化の社会の中では、子どもが育つために必要な「見てまねる機会」を、親族や同級生など従来の「たて」「よこ」だけではなく、地域も含めた「ななめ」で創出していくことが重要です。

最後に、横浜市立大学国際教養学部都市学系・准教授の三輪律江氏が、「まち保育」の観点から見たまちづくりの課題を提示しました。子育ては「子ども」の文脈だけで語られがちですが、現代版の群れた子育てができるように、子どもの身近な距離に多様な居場所をつくること、子どもだけでなく保護者や保育士の交流の場をつくることとそこに身近な地域との関わりも視野に入れること、その実現のために地域の資源を見直したり、空き店舗や公共空間を活用したりすること。まちづくりでフォローできることはたくさんあります。

質疑とディスカッションでは、住宅団地の開発やマネジメント、地方の企業と地域資源を活用した子育て、子育て世代と行政の関係づくり、歩きやすいまちづくりとの連携など、参加者からも多様な質問が飛びました。人口減少の時代に持続的な都市をつくっていくためには、「人が出ていかない」「このまちでならもう一人子どもを生んでもいいかもと思える」まちづくりが重要です。また、子どもや子育て世代の視点や活動がまちを魅力的にしていきます。「まち保育」は「まちで子どもを育てる」と同時に「子どもがまちを育てる」取り組みでもあります。

【開催概要】
日時:7月13日(土)  14:00〜18:00
主催:日本都市計画家協会 (認定NPO法人)×シティラボ東京

◇プログラム
第1講:米田佐知子(子どもの未来サポートオフィス代表)
「こどもを取り巻く現在の環境とまち保育のすすめ」
第2講:棒田明子(NPO法人孫育て・ニッポン理事長)
「多世代と培うナナメの関係とまち保育」
第3講:三輪律江(横浜市立大学准教授)
「まち保育の観点から見たまちづくりの課題」
質疑とディスカッション

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