2019.10.08 いま、Z世代・ミレニアル世代がSDGsに取り組む理由 –SDGsとまちづくり―[SDGs日本モデル宣言を読み解くvol.2]
若者の活動・発想がSDGs達成の鍵になる!
「SDGs日本モデル宣言」は、地方自治体によるSDGs推進に向けた宣言です。7月の国連「SDGsハイレベル政治フォーラム2019(HLPF)」でも世界に発信され、「SDGsのローカライゼーション」に対する先導的な取り組みとして高い評価を得ました。8月には国連開発計画(UNDP)と神奈川県が国内初の連携趣意書を締結するなど、次々に展開を見せています。
SDGs日本モデル宣言を様々な切り口で読み解き、まちづくりに落とし込むヒントを探る、シリーズ「SDGs日本モデル宣言を読み解く」。第2回は、SDGsが目標とする2030年に社会の中核を担う「Z世代・ミレニアル世代」に着目しました。
冒頭に、シティラボ東京のメンターでシリーズのコーディネーターでもある川廷さんより「SDGs日本モデル宣言」の世界的な状況(前述)、9月の国連サイドイベントに参加した際のスピーチの様子などSDGsの最新情報を紹介いただいた後、SDGsの推進に向けて取り組んでいる登壇者3名にそれぞれの活動を話してもらいました。
「答えのない問題」への取り組み/須藤あまねさん(聖心女子大学)
貧困問題に対する募金活動がともすると相手地域の問題を悪化させるなど、「答えのない問題」に悩みながらも、高校時代からSDGsの普及啓発イベントを推進してきた須藤さん。そんな彼女の高校3年間を支えたモチベーションは、「人との出会いと繋がり」だったとのこと。「答えがない」からこそ、多様な人とつながり、仲良くなれる。SDGsにはその様なパワーがあるようです。
ユースとしてSDGsに取り組む意義/大貫萌子さん(慶應義塾大学)
小学生時代に住んだ南アフリカ共和国の人や自然に親しみ、一方で人種差別の現実を見て、様々な取り組みを始めた大貫さん。HLPFへも参加し、SDGsの理念「誰ひとり取り残さない」は、「誰でも参加できる」という意味でもあると気づきます。そんな彼女が大事にするのは、一つの出会いが新しい出会いを生む楽しさと、人生を豊かにする純粋な面白さ。大人とも一緒に楽しみながら取り組んでいきたいというメッセージをもらいました。
Local Food Cycling /平希井さん(NPO法人循環生活研究所)
親子三代でコンポストを推進している平さん。初心者やマンション住民でも簡単に始められて失敗が少ないダンボールコンポストと、コミュニティで野菜を育て販売するコミュニティコンポストにより、地域内で資源が循環する「Local Food Cycling」を実現しています。関心が薄かった層が自然と環境に目覚めるきっかけとなり、コンポストを通した地域のコミュニケーションも活性化するなど、環境から様々な分野に効果が波及しています。
クロストーク
川廷さんにリードしてもらいながら、登壇者の3名と、やはりミレニアル世代である司会の矢野(シティラボ東京)によるクロストークを行いました。
矢野からは、サステイナビリティ先進国であるデンマークでの経験をふまえ、「対話」を通してフレキシブルに新しいルールをつくりだしていく同国の特徴を紹介しました。
登壇者3人からは、自分の活動を好み楽しんでいること、人とのつながりを楽しみながら受け入れていること、広く海外に目を向けて気づきを得る視野を持ちながら“ジブンゴト”として活動を始める行動力、SDGsに関心の薄い友だちにでも共通のキーワードを探しながら接点をつくっていく対話力といった共通点が伺えます。
2030年の世界をつくっていくためには、全く違う視点や問題意識を持つ世代とのコミュニケーションも必要です。若い世代で常識となりつつあるSDGsは有用なツールとなります。また、若い世代の中でも先駆的に取り組んでいる登壇者の工夫と経験は、年上の世代にとっても、SDGsというツールの活用方法の気付きになりました。