【Event Report】サステナブルシティサミットⅡ 〜サステナブルビジネスとともにまちをつくる

2022年2月5日(土)にシティラボ東京の年間最大イベント「サステナブルシティサミット」を開催しました。2回目となる今回のテーマは「サステナブルビジネスとともにまちをつくる」です。2020年12月20日の第1回目では「まちづくり」と「ビジネス」という2つの観点から6つのセッションで持続可能性を模索しましたが、今回は両者がより融合した全体テーマのもと、実行委員会形式によって幅広い専門家の知見をいただきながら8つのセッションを企画しました。

新型コロナの影響により、昨年度に引き続きオンラインでの開催となってしまいましたが、約380名と昨年度の数倍の方にご参加をいただき、濃厚なディスカッションが行われました。述べ10時間に及ぶセッションの内容を全てお伝えするのは不可能ですが、概要をお伝えします。

【サステナブルシティサミットⅡ セッション一覧】

※各セッションの概要は特設ページをご覧ください。 https://www.sustainablecity-summit.jp

各セッションは個性的なテーマを追求しつつ、「持続可能な都市・社会」を創っていくために、個々人がどのようにマインドセットを変え、繋がりながら、取り組みを起こしていくか…という点で相互に重なり合いながら、議論が展開していったように思えます。


オープニングセッションでは、「脱炭素を実現するサステナブルシティとは」という大局に立ち、都市計画とビジネス・ファイナンスの両側面から各セッションにつながるフレームが示されました。サステナビリティ、とりわけ「脱炭素」を軸として、ビジネスとまちづくりを取り巻く環境が変化しつつあります。

一見グローバルな課題である脱炭素ですが、地球の環境負荷に大きな影響与えるのは「都市」です。さらに、その都市を構成する「地区」は、素早くイノベーションを起こすのに十分な小ささと、意味のある影響をもたらす十分な大きさを持つエリアです。このような地区のまちづくりが、サステナブルビジネスの舞台となっていくのではないでしょうか。脱炭素を始めとしたサステナブルファイナンスの流れも追い風となっています。環境を軸にしつつ経済や社会も含めて複数の課題を全体論(ホリスティック)として考える視点と、ビジネスの活動や構成する人がまちづくりに参加できる仕組みが必要です。

【オープニングセッション:脱炭素を実現するサステナブルシティとは】


続いて、2ラウンド×3チャンネルで6つのセッションが繰り広げられました。各テーマに応じて個人から企業や自治体まで多様なスケールで議論が繰り広げられましたが、全体的に共通していたのは、サステナビリティを実現する新たな変化を起こすためには、地区の中でビジネスやまちづくりを実際に動かしていく「人」の重要性だったように思えます。

リモートワークの推進により、逆に、自分が暮らす地域を重視する価値観が芽生え始めています。企業で働く人も半身は地域で暮らす人です。オンラインも活用した参加の仕組み、都市の活動や環境への影響の可視化など、テクノロジーの進化も、働き方や暮らし方の自由度を高めると共に、新たなコミュニケーションの可能性を広げています。

各セッションで魅力的な活動を行っている人を見ると、そこにはまず、個人として、他者に開かれた状態やゼロベースで考えられる柔軟なスタンスが感じられました。そのような個人が信頼でつながりながら、企業の枠を越えて地域と関わっていくことで、ビジネスとまちづくりがクリエイティブに融合していく事例もたくさん紹介されました。また、そのようなオープンイノベーションが生まれる場づくりについても、テクノロジーの関わり方や対話のチャンネルづくりなど多様なヒントが得られました。

まちづくりとは、サステナブルな社会に向け、ビジネスも含む多様な暮らし方・働き方を行う個人をつないでいく共通テーマを探し続けていく取り組み、空間や活動が一体となった場をつくっていく営みと言えます。

【ラウンド1:テクノロジーによるまちの可視化(左)/なぜビジネスは地域社会に関心を寄せるのか(中)/地域の実践から学ぶ『サーキュラー・シティ』】
【ラウンド2:『多様な働き方』と『持続可能なビジネスやコミュニティ』の関係性と未来(左)/個人のエンパワメントから始まるまち・ビジネス(中)/ON/OFFでどうつなげる?オンライン時代の新しいまちづくりの姿(右)】
【オープニング・セッション、ラウンド1、2のキーワード(しおりん@グラレコする人 https://mobile.twitter.com/shiorin_grp/with_replies)】


最後のクロージングセッションでは、「起業的サステナブルまちづくりに向けて」というテーマに立ち、各セッションを総合すると共に、ビジネスとまちづくりをつなぐ拠点の運営といった視点も含めながら、暮らし方と働き方が融合していくサステナブルな社会のあり方をディスカッションしました。

起業家精神(アントレプレナーシップ)とは、新しい仕事を個人が生み出すとことですが、そこから社会が変わることが大切です。サステナビリティに大きく舵を切り、働き方や暮らし方が大きく変化していく都市の中、自主性や創造性をもって、個人と社会的資源を結びつけていくクリエイティブな人やネットワークをつくっていく必要があります。

企業にとっても、変化するビジネス環境の中、課題の宝庫である都市に関わりながら、市民や行政、他の企業、そして多様な個人と一緒に、パートナーシップで課題解決とビジネス創出を結びつけていくことが望まれます。その先にあるのは、個人の創造性が価値として重視されながらサステナブルな都市・社会と融合していく「創造社会」なのではないでしょうか。

【クロージングセッション:起業的サステナブルまちづくりに向けて(クリックするとグラフィックレコーディングにジャンプします!)】

魅力的で濃密なセッションを企画・実施していただいた実行委員会、登壇者の皆さま、また、土曜にも関わらず視聴や質問などでご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!シティラボ東京では、このサミットで得られた知見や次の課題も活かしながら「持続可能な都市・社会」の形成に向けた取り組みをより一層推進していきます。今後とも皆さまのご参加・ご協力をいただければ幸いです。


なお、シティラボ東京会員(法人・個人・オンライン)は全セッションの映像をアーカイブ視聴可能です。ご興味のある方は下記をご参照下さい(オンライン会員については2月31日までに入会いただくと2ヶ月分の月会費が50%オフになるキャンペーン中です)。

https://citylabtokyo.jp/clt-membership/

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