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【Event Report】01オープニングセッション〜サステイナブルシティ・サミット2020

■激動の2020年の先にある持続可能な都市の姿とは

2020年という節目に、持続可能な都市を巡る議論は新たな局面を迎えます。新型コロナウイルスの蔓延により、わたしたちの生活は大きく変化しました。今、改めて想像できる持続可能な都市とは、一体どんな姿をしているのでしょうか。 2020年12月20日、シティラボ東京で(以下、CLT)は、持続可能な都市を模索する上で欠かせないトピックを集積し議論するサステイナブルシティ・サミットを開催いたしました。今年はオンラインで様々な分野のゲストスピーカーに登壇いただき、「まちづくり」と「ビジネス」という2つの観点からこの先目指すべき新たな「持続可能性」を模索しました。6つのセッションを行い、トータルで120名を越える方が参加しました。 ※プログラムの全体像は特設サイト参照
https://sites.google.com/view/citylabtokyo/

■ガイダンス 〜 持続可能な都市・社会の形成にむけて

冒頭、CLTプロジェクト・マネージャーの冨谷より、持続可能な都市・社会の形成にむけた展望について、CLTの活動を通して説明を行いました。2018年に立ち上がったCLTは、持続可能な都市の形成に向けて活動をしてきました。2020年はコロナ禍の中、オンラインツールも活用し、自主・共同プログラムの充実化、パートナーの拡充、東京以外の郊外・地方・世界とのつながりの強化を図ってきました。その結果、2018年夏から現在に至り、360超のプログラム開催、19,000名超の来場(オンライン参加含む)、7カ国からの登壇・参加を得ています。
本日のサステイナブルシティ・サミットは、この2年に渡るCLTの活動を集約した、総括的な意味合いと同時に、参加者と一緒に、持続可能な都市・社会をつくっていく新たな展開に向けた第一歩として考えています。

■オープニングセッション 〜 COVID-19を乗り越えた新しいまちづくり

国土交通省都市局では、コロナ禍を受け、8月31日に「新型コロナを契機としたまちづくりの方向性」(論点整理)を公表、10 月31日から「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」を開催し、まちづくりの方向性や都市政策を議論しています。また、「新型コロナ生活行動調査」を行い、新型コロナ流行前・緊急事態宣言中・緊急事態宣言解除後の活動や意識の変化を把握してきました。本セッションでは、同省の検討状況を伺い、参加者が都市政策の最新動向を理解するとともに、都市に係る多様なプレイヤーとして意見を出し合い、都市に関するプランニングや事業展開のヒントを持ち帰ることを目的としました。

□「ニューノーマルに対応したまちづくりの方向性」の紹介

まず、国土交通省都市局の筒井祐治氏と城麻美氏が、上記の検討成果や現在の状況について説明しました。生活行動調査では、自宅周辺への活動場所のシフト、商品の購入やコミュニケーションでのリモート活動の意向の差、屋外空間の充実へのニーズ、テレワークの定着可能性など、ニューノーマル時代の生活行動を予見させるデータが示されました。また、同省では並行してまちづくりの方向性について検討を進めており、有識者61名へのヒアリングをふまえ、都市(オフィス等の機能や生活圏)、都市交通(ネットワーク)、オープンスペース、データ・新技術など、事前防災といった論点整理を8月31日に発表。現在は、まちづくりの方向性や都市政策のあり方についての検討会を開催中です。

□トークセッション「COVID-19を越えてサステイナブルなまちをつくる」

続いて、筒井氏と城氏(前掲)に、東京大学の小泉秀樹氏を加え、オンデザインパートナーズの西田司氏をモデレーターとしてディスカッションを行いました。

□生活スタイルや都市活動にどんな変化が?

都市の持つ本質的な価値である「プレイス(場所)」と「リンク(移動)」という観点からトークが始まりました。デジタル化の進展により、従来の「就業=オフィス」という画一的な機能論が変わったり、商業モールの購買行動がデジタルとのハイブリッド型になったりといった変化が予想されます。既に、路上でウェブ会議に参加することも珍しくない時代になりましたが、従来は移動がメイン機能であった街路がウォーカブルになり、さらにデジタル化の融合した事例と言えそうです。一方、従来型の商業に支えられてきた地方の都市の衰退、また、例えば学校の授業以外の人間関係形成といった実空間に伴う価値をどう考えるかが課題になります。また、環境面では長所を持つ公共交通が避けられ、都市の持続可能性をどう考えていくかという課題もあります。

□まちづくりはどのように変わる?

生活スタイルや都市活動の変化に伴い、画一的な機能論が通用していく中、まちづくりの方向性も、パーソナライズ重視型、デマンドサイド主導型に変化していきそうです。一方、世間で言われているオンライン化や郊外移住の流れに対して、エッセンシャルワーカーや多拠点居住ができない所得階層への対応、既存の商業に支えられた地方都市の生き残り策なども重要なまちづくりのテーマになるでしょう。さらに、不確実性が高まる時代において、まちづくりの方法論も、一元的なストーリーの設定ではなく、データをベースとしつつ、ステークホルダーの対話によって方向性を模索するシナリオプランニングが重要になると考えられます。 「変化を受け止めながらのサステイナブル」、これが新しいまちづくりのキーワードになりそうです。この後に続く各セッションへの視座を提供いただいたオープニングとなりました。
※続くセッションに関しては後日レポートを掲載します。お楽しみに!