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【Special Report】みどり豊かな都市「東京」を実現するには何が必要か? | empublic×シティラボ東京 Collective Impact for Tokyo Sustainability vol.2

2019年2月28日、シティラボ東京とエンパブリックのアライアンスプログラム第2弾となる、Collective Impact for Tokyo Sustainability vol.2 「みどり豊かな都市『東京』を実現するには何が必要か?〜暮らしやビジネスでもっと緑を活かし、SDGs時代に魅力ある東京を実現するには」を開催しました。本プログラムは、参加者それぞれが自らの問題意識や経験を持ち寄り、SDGsの17のゴールをきっかけとして持続可能な社会のためのアクションプランを考えるシリーズです。※Vol.1のレポートはこちらから

構成・文/三谷 繭子

今回のテーマは「東京の緑」。「東京は大都会だから、緑がないのは仕方ない」と思う人も多いかもしれません。しかし、東京という大都市だからこそ、健やかに暮らすために緑が不可欠と感じている人は増えているのではないでしょうか。本会では、そのような緑の効能、また都市でのライフスタイルの一部として緑を取り入れるためにはどうしたらいいか、3名の実践者の方をお招きして参加者とともに考えました。また、初となるNPO法人Green Connection TOKYOとの共催で開催しました。

エンパブリック広石さんからのイントロダクション。

東京の緑をつないでいくために

最初の話題提供はNPO法人Green Connection TOKYO代表理事の佐藤留美さん。本会は、佐藤さんは、20年以上前、仙台からはじめて上京してきた際、東京の多様で豊富な緑に驚いたといいます。その後、NPO法人を立ち上げ、ライフスタイルや価値観のなかで、緑の力を伝えていく活動をしています。

佐藤さんが解説する「緑のもつ10の力」。緑には、現代の様々な課題を解決するための力がすべて備わっているといいます。

教育・福祉の場としての公園、安心安全なまちづくりのための緑の場、グリーンインフラとしての屋上緑化など、具体的な事例を交えながら解説していただきました。

海外事例の現場にも何度も足を運び、知見を得てきたという佐藤さん。ヨーロッパの行政に話を聞くと、気候変動や都市災害を防ぐために都市に緑は必要だと言い切るそうです。一方、日本はどうでしょうか。

東京には希少な動物も多数生息しており、生き物にとっては多様な環境の緑が重要です。

東京のもつ緑の質や量は海外の都市にも負けていないものの、最も大きな課題はそれらがどんどん減少していることだといいます。調査によると、東京は他都市に比べて、民有地の緑の割合が多くなっています。しかし、個人の持ち物である民有地の緑、開発や相続などの問題もあり減少に歯止めがかかりません。

公有地としての緑は微増しているものの、それでは全く追いつかないスピードです。「今ある緑を、持続可能な社会づくりのためにどう使いこなすか考えていかなければいけない時代になっている」と締めくくりました。

緑の力で、選ばれる都市「東京」をつくるために

都内にビルを開発するとともに多くの緑を生み出しているという。

続いて、東京建物(株)の藤井顕司さんから、都市開発に携わるデベロッパーの立場からの話題提供です。

東京建物が都心につくりあげた緑の拠点として有名なのは、2014年に竣工した大手町タワーの足元にある「大手町の森」。なんと敷地の約3分の1に相当する3,600m²を使って都心に森を創出しました。

竣工から数年が経ち、当初100種類だった植物は、地域と共に育ち現在では300種類にも増えたといいます。また開発前のオフィスビルに比べ、入居者からも緑の価値についてポジティブな意見が増えたり、上層階にある外資系の高級ホテルからは、この森があったことが東京に進出する決め手だったと言われたことなど、都市レベルでの誘致にも価値を発揮したそうです。

都心は皇居や日比谷公園などの緑がたくさんある。緑がつながっていけば東京そのものがセントラルパークになる可能性も。

当ラボが立地する東京スクエアガーデンも「京橋の丘」と呼ばれる緑が特徴です。開発当初は、本当にこんなに建物に緑を植えて大丈夫かという議論があったといいます。しかし、様々な苦労を経て完成すると、「本当にいいものをつくってくれてありがとう」という温かい言葉をかけられたそうです。

八重洲京橋エリアに所有不動産が多い東京建物は、都市間競争の点でも緑が重要であり、緑を都市戦略の一部と捉えています。これまでの供給者目線ではなく、利用者目線の需要を掬い上げることで、新たな価値提供ができると藤井さんは語りました。

農の力で東京を世界一住みたい都市に

最後は、(株)農天気 小野淳さんからの話題提供。小野さんは、元TVディレクターという異色の経歴の持ち主。現在は国立市谷保(やぼ)を拠点として、様々な農体験ができる都市農地の経営を実践しています。

6つの力を畑で最大限発揮させるため、次々と新たな挑戦をしている小野さん。

 東京の農地面積は、60年で4分の1、水田は24分の1になっているといいます。その中でも多摩地域はまちなかの10%が農地であり、東京の中では比較的農地が残っている地域といえます。

東京の農地は、江戸時代から続く歴史文化的価値を持っています。これは他都市に類を見ない特徴。以前は農地を借りるのが難しかったこともあり、宅地化され続けてきましたが、現在、都市農地は以前に比べ貸し借りしやすくなっています。

そこで、歴史的にも貴重な東京の農地が減っていっている現状を打開すべく、小野さんは、都市農地の活用モデルとして、2013年に都市農地の多面的機能をいかすコミュニティ農園「くにたちはたけんぼ」を開設しました。

田畑は白紙のキャンパス!子育て支援、はたけで婚活、忍者教室、ラマダンBBQ・・・、個性豊かな企画が展開されている。

そのほかにも、東京の農地を活用して外国人や大学生が交流できる仕組みづくりを行うなど、農地や緑の力を実感できる体験の場づくりを推進されています。小野さんの「農の力で東京を世界一住みたい都市に!」という力強い言葉に、参加者は頷きます。

生活に身近な緑の在り方を考え、緑の多面的な価値を捉える

参加者全員でのワークショップでは、自分自身の東京での生活・仕事・訪問で、緑・農のある姿を絵に描きました。家の近く、通勤途中、勤務地、帰り道・・・身近な緑がどんな風にあるとよいか、想像していきます。

言葉だけではなく絵で表現することで、大切にしたいイメージを共有する。

想いを共有することで新たなアイデアが生まれ、発展していく。

ただ木を植えるだけではなく良い緑を育てたい、緑のなかで働くことで快適性のみならず生産性や集中力を高めていきたい、また、マンションなどのコミュニティづくりに緑を役立てたいなどの意見がありました。

今回も「緑」をキーワードに様々な職業、年齢の方々が集まりました。SDGsや都市を切り口に、普段出会う機会のない人々が対話を深められるのもシティラボ東京ならでは。2020年代、30年代の東京にとって「緑」を維持したり、育てる理由をそれぞれが持ち帰り、次なるステップにつなげていくきっかけにしていただけたらと思います。

【Information】

次回のCollective Impact for Tokyo Sustainability vol.3は、4月11日。
テーマは「東京に自然エネルギーの森をつくろう〜都市から再生エネルギーの未来をつくるには?」。ぜひ奮ってご参加ください!

◇日時・場所

日時:4月11日(木) 19:00〜21:30

場所:シティラボ東京

主催:株式会社エンパブリック

共催:シティラボ東京

参加費:一般¥3,800 学生¥2,000

お申込先:http://ptix.at/CbSbRe

お問合せ先:info[at]empublic.jp  ※[at]を[@]に変換してお問い合わせください。

◇プログラム

1.イントロダクション「分散型社会へのシフトを進めるために」 広石拓司(エンパブリック)

2.再生可能エネルギーとエネルギーの地産地商の現在とこれから 山川勇一郎(たまエンパワー株式会社

3.【対話】 気候変動のために東京でできることは何?

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