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【Special Report】サステイナビリティ特化型ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures」が始動! [前編]

2019年4月19日、ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」の発足式および記者発表をおこないました。シティラボ東京を拠点として、サステイナビリティ分野で事業を展開しているベンチャー企業が集い、新たな活動を立ち上げます。 写真/石川望 構成・文/ウィルソン麻菜

ビジネスで環境問題に取り組む時代の新たなコミュニティ

記者会見に出席したのは、シティラボ東京の企画・運営に携わる東京建物株式会社のほか、発起人である株式会社TBM、株式会社ウィファブリック、株式会社ユーグレナ、株式会社ボーダレス・ジャパン、株式会社 DG TAKANO、自然電力株式会社。いずれもサステイナビリティや環境課題のソリューションをビジネスとして実現させてきたベンチャー企業です。この6社が集結しサステイナビリティ特化型ベンチャーコミュニティを結成。名称は、「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」です。
発起人たちが前に並び、コミュニティ名を発表
活動の場となるシティラボ東京は、「世界では現在、急速に都市化が進んでいる。人々が集まる都市にこそ環境対策が必要」という考えから、2018年12月、持続可能な都市づくりの拠点としてオープンしました。
同施設のテーマは、今回のコミュニティ発足と同様の「ビジネスによる環境課題の解決」。従来のように環境対策を国や行政主導と捉えるのではなく、民間のビジネスとして考え、そこから生まれるアイデアや技術を社会で実践していくための場です。
「これまで環境はビジネスにならないと言われてきました。しかし、社会が変化し、それに伴って企業や個人の意識が変わり、環境もひとつのビジネステーマになり得る時代が到来しています」と東京建物の取締役専務執行役員、福居賢悟氏はいいます。
「サステイナビリティを事業の軸としたベンチャー企業6社が集結しました」(福居氏)

八重洲・日本橋・京橋を活性化したまちへ

シティラボ東京は、東京建物が再開発に関わる八重洲・日本橋・京橋エリアの只中に位置します。「City Lab Venturesの立ち上げを機にベンチャー企業がこのまちを訪れ、当エリアの大企業と協業した結果、新たな事業や価値観に結び付くことを期待しています」(福居氏)
すでに同社はこのエリアでオフィスやシェアキッチンなどの企画・運営を通し、まちづくりに取り組んでいます。福居氏は、まちづくりにも技術の進歩や社会の多様化への対応が必要だと痛感しているのだとか。
「最近はテレワークが浸透しつつあります。そのため一層、人が集い、出会い、学び合い、そして知識を分かち合ってイノベーションを促進する場の存在が重視されています。そのような背景で、サステイナビリティに特化したベンチャー企業をまちに呼び込むことは、まちの活性化やサステイナブルな地域の実現につながるでしょう」(福居氏)

小さなベンチャーがつながり生まれる大きな前進

続いて、TBMの執行役員CMO、笹木隆之氏がCity Lab Venturesを紹介しました。
「このコミュニティの目標は大きく分けて2つ。ひとつはベンチャー企業同士のつながりと知識の共有と、シティラボ東京に集う自治体や投資家などの様々なプレイヤーとのつながりを強化することです」。(笹木氏)
SDGsの浸透が進んできた今でこそ、サステイナブルに特化したベンチャー企業の認知度が高まりましたが、まだまだ成功確率や事業規模は大きくありません。その原因の1つに、WEB サービスや AI の領域に比べ、サステイナビリティ領域での知識共有と人とのつながりの弱いことが考えられます。
また、それらの領域に比べ、サステイナビリティ領域ではまだ横のつながりがなく、各社が独自で道を切り拓いていく必要があります。同コミュニティはサステイナビリティ特化型のビジネスならではの課題や解決策、業界での優位性の出し方、海外事業の展開方法など、各社が培ってきた経験や知識を共有し、サステイナビリティ業界全体の促進を目指します。
発起人を代表して、TBMの笹木氏がCity Lab Venturesを説明
もうひとつは、サステイナビリティ特化型ベンチャー企業同士のみならず、それを取り巻く様々なステークホルダーとのつながりを形成・強化すること。
これまでサステイナビリティに取り組んできたベンチャー企業が集まるのは、大学やクローズドな勉強会などの限られた場所でした。City Lab Venturesは常に開かれ、政府や自治体、SDGsに貢献できる投資先を探す金融機関、環境社会課題解決に関わる仕事を探している人など、多くの人々とつながることを意識していきます。
一方、ベンチャー企業に向けては、これまで自社のアプローチでは出会えなかったプレイヤーとつながり、円滑に事業展開できるようにするという狙いがあります。

City Lab Venturesのこれから

City Lab Venturesでは、隔月に合同イベントを行う予定です。ESG投資に明るいシティラボ東京のメンターの吉高まり氏や、すでに上場したユーグレナの経験談を交えて資金調達を考えるイベントや、課題を抱える地方自治体とベンチャー企業が対話を通じて実際に解決を検討するといった合同イベントを予定しています。
「初年度はイベントをベースにコミュニティとしてのノウハウを集積していきます。その後、各ベンチャー企業の持つ技術やビジネスモデルを活用し、自治体などの課題解決への取り組み、海外コミュニティとの連携で影響力を拡大したい。今後広く参画者を募り、コレクティブインパクトにより、世の中にインパクトを与えて行きたいと思います」(笹木氏)
「まずは会って、ざっくばらんに話ができるイベントを企画したい」(笹木氏)
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