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【Special Report】GINZA SKY WALK2024視察レポート

ゴールデンウィーク中日の5月4日(土)、東京都・東京高速道路株式会社が主催で開催された「GINZA SKY WALK 2024」を取材しました。現在、有楽町・京橋・銀座・新橋を結ぶKK線(東京高速道路)では『自動車専用の道路』から『歩行者中心の公共的空間』への再生するプロジェクト「KK線再生プロジェクト」が進められており、当イベントは歩行者空間化された後の未来を先取りして体験できるイベントとして開催されました。

ひと・まち・環境をつなぐグリーンインフラとして生まれ変わらせ、エシカルな未来の実現を目指す取り組みについて、体験イベントの様子と共に見ていきましょう。

▼KK線再生プロジェクトとは

KK線とは、民間企業の東京高速道路株式会社が、無料で供用している自動車専用の道路「東京高速道路」の通称です。日本橋周辺の首都高地下化に伴う都心環状ルートの再編により、KK線が通行止めとなる2020 年代中頃に整備に着手し、全区間の整備完了については、 2030 年代から 2040 年代を目標時期としています。「再生に当たっては、植栽、アート等の導入やまちを眺めることができる視点場の工夫、日本の文化や有楽町・ 銀座・新橋など沿道地域の多様な個性をアピールするなどにより、世界から注目される観光拠点を目指す」と東京都は謳っています。

国土交通省都市整備局 東京高速道路(KK線)再生の概要

▼歩行空間化された高速道路の歩行体験イベント

「GINZA SKY WALK 2024」は、いつもは立ち入ることが出来ない高速道路の上で、歩行者空間化された後の未来を先取りして体験できるイベントです。昨年は3,000人の枠に対してなんと29,000人の応募があり、倍率は10倍近くだったことを受け、今年は募集人数15,000人と5倍に増やされました。それでも「今年も抽選に外れた」という声は身近でも多く聞こえており、注目度の高さが伺えます。
会場では、パフォーマンスステージやキッチンカー、子供向けワークショップや未来のモビリティ等の体験コンテンツが行われていました。スタートの新橋からゴールの京橋まで、エリアごとに見ていきましょう。

GINZA SKY WALK2024 Webページ

《新橋エリア》

スタートは新橋です。新橋駅から徒歩5分ほど、銀座ナイン3号館の脇に入口がありました。新橋と言っても、銀座エリアの街並みを右手に実ながら歩を進めていきます。

KK線の歴史やパトロール車の展示も。パトロール車を見てノリノリなラボスタッフと後ろには丹下健三設計の静岡新聞・静岡放送東京支社ビルです(笑)

《日比谷エリア》

ほどなくしてJRの線路が見えてきて、しばらく並走。新幹線が真横を走るゾーンで、マニアでなくても気分が躍る光景です!電車の通過を眺めながら作業ができるスペースも創出されていました。将来的にこんな空間ができたらと思うと楽しみです。

このゾーンでは、緑溢れる空間のイメージや、次世代モビリティの試乗などが体験できました。鏡面の動くプランターに入った植栽は、なんと会話できる植物。モビリティエリアには歩行者をサポートする未来のモビリティの展示や市場体験が行われていました。将来歩行者空間として整備されたときには、これらのような次世代のツールで溢れた空間になるのかもしれません。

《銀座エリア》

数寄屋橋の付近では、東京都による「Tokyo Green Biz」の展示や、子供向け遊具の設置などによる緑と交流のゾーンが演出されていました。

《有楽町エリア》

銀座エリアから有楽町エリアにかけては、ステージや神輿の展示など、賑わいの演出が続きました。エシカルな商品が並ぶマルシェや飲食・滞留ゾーンもあり、道路空間でのんびりと過ごす参加者の姿が見受けられました。

《京橋エリア》

「出口」「本線」と白線で書かれた道路空間の上を歩いていく非日常な体験にワクワク感を覚えながら、しばし京橋エリアに向けて歩を進めます。シティラボ東京が位置する京橋に到着。ヘラルボニー仕様に装飾されたストリートピアノと我らが東京スクエアガーデン(6階にシティラボ東京が入居する)をパシャリとカメラに納め、KK線散歩を終えました。

▼高架下のテナント料で運営する持続可能な仕組み

ところでこのKK線、1,2階には店舗がずらりと入っており、施設所有者である東京高速道路株式会社は店舗からの賃貸収入を高速道路の維持管理運営費に充てて通行量も無料となっています。再生後においても現行の管理運営スキームを継承し、公共性に配慮しつつ管理運営することを基本とするそうです。土地所有者である東京都も地主として街の活性化に協力するとのことでした。
歩行者空間化する上部空間の充実ももちろんのことではありますが、高架下と歩行者空間の上下行き来や、まちへの賑わい滲み出しをいかに仕掛けられるかは今後の検討に期待したいところですね。
国土交通省都市整備局 東京高速道路(KK線)の再生について

▼緑に囲まれた歩行者中心の空中回廊「Tokyo Sky Corridor」への期待

KK線の再生後の名称は、空中回廊「Tokyo Sky Corridor」と発表されています。2020年代半ばから整備着手とされているKK線、整備完了予定は2030年代~40年代だそうです。体験イベントである今回も緑や次世代モビリティ・ツールの数々が取り入れられ、将来の姿を大いにイメージすることができました。このように体験を重ねながら、私たち利用者たちがその価値を見出し、課題感も共有することで、より良い空間整備に繋がると良いですね。

国土交通省都市整備局 東京高速道路(KK線)の再生について

(マネージャー 右田)