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【Event Report】重松健 × 小橋賢児「東京のワクワクする未来を考える」

2021年2月15日(月)、ニューヨーク在住でラグアルダ・ ロウ・アーキテクツ共同代表の重松健氏(以下、重松氏)をコーディネーターに、The Human Miracle株式会社 代表取締役・クリエイティブディレクターの小橋賢児氏(以下,小橋氏)をゲストとしてお迎えし、「東京のワクワクする未来を考える」対談が行われました。当イベントには全国から約50名がオンライン参加しました。 本イベントは、コロナ禍で世界が問題に直面し、ネガティブになっている今こそ、それをポジティブに変換して「ワクワクする未来」を考えようという連続イベントの第7回目です。今回は小橋氏と「ライフスタイル」の視点と参加者の質問を踏まえてクロストークを行いました。
第1回レポート<重松健氏×齋藤精一氏>、第3回レポート<重松健氏×乙武洋匡氏>、第6回レポート<重松健×石山アンジュ×重松大輔>)
左:小橋氏、中央:重松氏、右:矢野(シティラボ東京)

■東京のワクワクする未来の提案

初めに重松氏から、東京の未来ビジョンとして、首都高速都心環状線を歩行者専用に開放するとともに、ただの公園ではなくパーソナルモビリティの実験場など、複合的な機能を持った「TOKYO G LINE」とする提案、都心の河川や運河を活かして水上交通網をつくるとともに、日常の風景を変える「TOKYO B LINE」とする提案を説明します。 小橋氏は8歳から27歳まで俳優として活躍し、「ULTRA  JAPAN」クリエイティブディレクター、「STAR  ISLAND」の総合プロデューサー歴任や、ノンアルコールバー「0% NON ALCOHOL EXPERIENCE」、新時代のリトリートサロン「UNBORN」をオープンするなど多岐に活動しています。このような活動の展開にはどのようなきっかけがあったのでしょうか。前日までヴィパッサナー瞑想(ブッタが悟りを開いた時の瞑想法と言われ、PCやスマホなどからの情報を遮断し、自分自身内側に集中する瞑想法)を10日間行い、自分自身に向き合ってきたばかりの小橋氏とクロストークを開始します。

■自分自身と向き合う

俳優として生活していた中で、当時、振る舞いなど決められた枠の中で生きていると感じていました。27歳の時にアメリカへ行き、最終目的地であったマイアミで「ULTRA MUSIC FESTIVAL」に出会います。この音楽フェスに出会ったことがきっかけで世界へ行くようになり、そこでまだ見ぬ自分に気づくことができました。現在、世界は情報で溢れていて、気づいたらタスクに追われ、自分自身で行動を決定したり、自分自身を知る機会は少ないのですが、小さな日常を変え、自分自身に気づくことが重要です。音楽フェスもヴィパッサナー瞑想も自分自身に気づく一つの方法と言えます。

■ワクワクに出会うための小さな奇跡

リアルな空間で行動することは、今まで知らなかったモノや体験など小さな奇跡やワクワクに出会う可能性が高くなります。例えば、音楽フェスでは好きなアーティストを目当てにフェスに足を運びますが、全く新しいアーティストや音楽に出会い、音楽に対する価値観すら一変させられるようなことがあります。都市においても、異なる路地に入ると全く異なるものに出会うことができます。行動すると、小さな奇跡に出会う、それが都市の魅力ではないでしょうか。そして、その出会いが自分の想像を超えた時に「ワクワク」につながるのではないでしょうか。

■東京のワクワクする未来に必要な余白

都市の魅力はあらゆるものが入り組んで存在しているところにあります。東京で育った視点から見ると、東京は地方や海外から来た都市以外の人によって作られていると感じます。バブル崩壊後に原宿の地価が下がり、若者がショップを作れるようになったことで裏原宿の文化が生まれました。ニューヨークも個性的な文化はブルックリンや中華街など余白のある部分に現れます。若者が入りやすい余白が文化と作り、都市を面白くするのではないでしょうか。 一方、自分たちで街を変えることができると実感することも重要です。重松氏は学生の時に、まちに対してのアクションがまち自体を変えることを実感し、その経験をもとに二人のトークが展開します。

■まちは自分たちで変えることが出来る

重松氏は学生の時、日本橋川で地域を巻き込んでボートレースを開催しました。これによってまちの人も楽しんで賛同し、船着場ができる一つのきっかけになりました。
小橋氏は次のように話します。デンマークのコペンハーゲンでは、都心の真ん中にクリスチャニア自治区(ヒッピーのまちのようなエリア)が存在します。そのエリアだけ法律は異なるのですが、犯罪などは起きませんし、観光の対象にもなりました。ノーマ(デンマーク発のレストランで独創性や革新性で知られている)が移転してきたり、周辺にはオーガニックレストランが集中したりとまち自体もそれに触発されて変化していきました。

■Q&A 自分の内面と向き合う人が増えることでまちはどうに変わるか

これまで、企業が生産性を上げる中で働く意味やコミュニティは忘れ去られてきました。コロナで時間ができたことにより、「自分が何ができるのか」、「何のために生きているのか」を考える人が増えたように思います。一方、これからは企業側からも働く意味を提供していく必要があると考えています。
オンラインサロンやゲームの中では世の中のルールとは異なる独自のルールで動く仮想の国のようなものも生まれています。独自のルールが生まれ、それが一定の範囲に限らず世界中でつながっていく可能性もあり、都市だけでなく世界全体が多様性を認め小さな奇跡が増えていくのではないでしょうか。
個々が自分自身と向き合い新しい繋がりも含めて、社会を考えることにより、長い目や広い視野で見ると多様なものが生まれ、失敗もありますが、都市は良い方向に進むと信じています。

■個人の多様性と地球レベルの視野の間にある豊かな社会

個人の多様性を認め合うことは、人間だけでなく自然や動物も含め、地球を1つの生命体としてみる視点にもつながります。豊かな社会とは、個人の多様性と地球レベルの視野の間にあるのではないでしょうか。
人や社会の活動の場である都市においても、自然や余白となる空間を活用しながらデザインしていくことが重要です。東京においても、水辺や未利用地をどのように活用し、都市として変えていくかが東京のワクワクする未来を作る上でも考えていきたい重要なテーマです。
【イベント概要】
・日時:2021年2月15日(月) 20:30〜22:00
・コーディネーター:重松健(Laguarda.Low Architects 共同代表 /inspiring dotsファウンダー)
・ゲスト:小橋賢児(The Human Miracle株式会社 代表取締役/クリエイティブディレクター)
・モデレーター:矢野拓洋(シティラボ東京)
・主催:シティラボ東京(一般社団法人アーバニスト)
【タイムライン】
20:30~20:40 イントロダクション
20:40~21:40 プレゼンテーション / トーク
21:40~21:55 Q&A
21:55~22:00 クロージング
【登壇者プロフィール】
◆コーディネーター
重松健(Laguarda.Low Architects 共同代表 /inspiring dotsファウンダー)
2005年東京大学社会基盤工学科景観研究室卒業。2005年から2010年 Laguarda.Low Architects Dallas。2010年Laguarda.Low Architects New York設立。共同代表。人々の体験をデザインするということを軸に世 界25ヵ国でマスタープランから複合施設の建築設計までを行う。2018年より、inspiring dotsを立ち上げ、テクノロジーをはじめ多様なツールで社会課題の解決を目指す。都心環状線を緑とパーソナルモビリティーのイノベーション特区にする「東京G-LINE」、日本の水路を水上交通のイノベーション特区にする「東京B-LINE」を提唱。テレビ朝日「あいつ今何してる?」 Abema Prime、News Pick The Update等出演。 ◆ゲスト
小橋賢児(The Human Miracle株式会社 代表取締役/クリエイティブディレクター)
1979年東京都生まれ。88年に俳優デビューし、数多くのドラマに出演後、2007年に芸能活動を休止。『ULTRA JAPAN』のクリエイティブディレクターや『STAR ISLAND』の総合プロデューサーを歴任。500機のドローンを使用した夜空のスペクタルショー『CONTACT』でJACEイベントアワード最優秀賞の経済産業大臣賞を受賞。「Hi-NODE(ハイノード)」の企画アドバイザーを務め、都市開発や地方創生に携わる。2020年7月に完全ノンアルコールバー「0% NON ALCOHOL EXPERIENCE」、2021年1月に新時代のリトリートラウンジ「UNBORN(アンボーン)」をオープン。 ・第7回のお申し込み:https://city-lab-tokyo-wakuwaku8.peatix.com/ 第1回レポート 建築家 重松健×ライゾマティクス・アーキテクチャー 齋藤精一
第2回レポート 都市計画家 饗庭伸×建築家 藤村龍至
第3回レポート 建築家 重松健×作家 乙武洋匡
第4回レポート 都市計画家 饗庭伸×哲学者 篠原雅武
第5回レポート 都市計画家 饗庭伸×コミュニティデザイナー 山崎
第6回レポート 重松健×石山アンジュ×重松大輔

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