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【Event Report】東京のワクワクする未来を考える 重松健×川﨑レナ

2021年3月31日(水)、ニューヨーク在住でラグアルダ・ ロウ・アーキテクツ共同代表の重松健氏(以下、重松氏)をコーディネーターに、ユーグレナCFO(Cheif Future Officer 最高未来責任者)の川﨑レナ氏(以下,川﨑氏)をゲストとしてお迎えし、「東京のワクワクする未来を考える」対談が行われました。当イベントには全国から約45名がオンライン参加しました。 本イベントは、コロナ禍で世界が同じ問題に直面し、ネガティブになっている今こそ、それをポジティブに変換して「ワクワクする未来」を考えようという連続イベントです。第9回目となる今回は、「Z世代と共に考える」をテーマとして、お二人の活動紹介の後に、クロストークで「アクションできる環境や教育のあり方」、「建築と人の多様性、環境」ついて議論が行われました。過去のイベントレポートは文末のリンクからご覧ください。

■東京のワクワクする未来の提案 〜重松氏

重松氏は、コロナをきっかけに、世界中が変わらなければならないと考えるタイミングで、理想的なライフスタイルを提示し、積極的に変えることでニューノーマルができるのではないかと話します。そのような東京の未来ビジョンとして、首都高速都心環状線を歩行者専用に開放するとともに、ただの公園ではなくパーソナルモビリティの実験場など、複合的な機能を持った「TOKYO G LINE」、都心の河川や運河を活かして水上交通網をつくるとともに、日常の風景を変える「TOKYO B LINE」の紹介をしました。

■15歳のユーグレナCFO(最高未来責任者:Chief Future Officer) 〜川﨑氏

川﨑氏は小学生の時に読んだ本で、発展途上国でランドセルを持たない子どもがいると知ったことをきっかけに、恵まれている環境にいるからこそ世界がより良くなるよう行動することが義務と世界的にインパクトを与えることを目指しています。ディベート大会で世界6位、特定非営利活動法人JUMPのワークショップ選抜メンバーなどを務めるほか、アースガーディアンジャパンを創立し18歳以下だけで運営するなど、活動は多岐にわたります。また、ユーグレナCFOとして、将来の世代の意見を会社経営に取り入れるため、主導し会社に提言する役割を担っています。

■建築・人の多様性・環境

川﨑氏は、小学4年生の頃からSDGsや教育の向上に向けて、仲間集めや企画を自ら行うなど能動的に行動していますが、この行動力は周りの環境も影響していると言います。もともとは、あまり行動的でなかったという川﨑氏はある日、日本では当たり前の日常も、世界に目を向けると当たり前ではないことに対しておかしいと考えました。そして、先生と相談し、文化祭でポストカードなどを作って売り、ユニセフを経由して発展途上国に寄付を送りました。この小さな成功体験による「アクションを起こすことは簡単だ」というマインドセットが次のアクションへつながっています。 通っていたインターナショナルスクールには、クラッカーを食べながら「演劇をやりたい」など、やりたいことを軽く提案できる「スナックタイム」がありました。また、生徒自ら課題を見つけ、企画を作り実行しなければならないカリキュラムがあります。クラスメート全員が情熱を持って取り組んでいるわけではありませんが、半ば強制的にアクションを起こさなければなりません。先生や学校のサポートもありながら、アクションを起こすことは簡単だと思わせてくれた環境や自ら企画し、実行しなければいけない環境は今の川﨑氏の行動力に大きな影響を与えています。 また、学生でありながら、自ら教育に関するワークショップを企画し実行する川﨑氏は、教える・教えられるの関係ではなく、相互に学ぶことができる二重構造を大事にしています。以前ワークショップを行った際には、ゲーム形式でSDGsを自分ごととして書き換えることで、SDGsが日常の延長にある実感を得られるようにしたり、先生も含めた他の人も新たな学びがあるような学びの二重構造を意識しました。またワークショップを進行するあたって、少人数でゲーム形式で行うことで、自然と発言できる状況をつくるなどの工夫も重要だと考えています。
左:重松氏、中央:川﨑氏、右:矢野(シティラボ東京)

■建築・人の多様性・環境

重松氏は、建築専攻ではなく、都市計画を専攻していたことで、建物だけではなくパブリックスペースやファイナンスなど総合的に考えてライフスタイルを提供するようになりました。子どもの頃から図画工作やマンションのチラシの間取りから空間を想像することが好きだったことや、大学時代のバンド活動で人を集める際に、来る人の体験を想像することも街全体としての体験や建築と人の多様性を考えるきっかけになっています。 続いて、川崎氏から「建物は夢を創ることも環境を破壊することもできるツールだと思うが、そこに対する意見を聞きたい」と質問がありました。重松氏は、建築を創る上で一つの正解があるわけではない。自分の構想する体験やビジョンを示しながら周りの人々を巻き込んで最適解を模索するプロセスも含めて建築であり、そこには常に未来に対してワクワクするモチベーションを保つことが大事。例えば環境のために我慢するなど、ネガティブな感情では持続的なアクションには繋がらないと言います。
都市開発を単に箱をつくっていく環境破壊的行為でなく、環境保全を助長するような都市デザインも可能であり、都市開発を通じて人々に新しいワクワクする未来を提供すると同時に、開発収益の一部を環境保全に還元することによって、より持続可能なエコシステムを確立することができる。そして例えば川を向いた街、ライフスタイルを提供すれば、より多くの人々が川に興味・関心を持ち水質改善へ向けた多様な活動や資金を促すこともできるのではないでしょうか。

■まとめ 〜 Q&A、アフタートーク

最後に参加者からの質問を交えた両者のディスカッションを行いました。「個人と集団の関係性は変わってきているのか」や「Z世代の考える会社や組織について」などの質問が参加者から上がりました。また、イベント後はアフタートークを行い、参加者と登壇者が本編ではできなかったトピックについて話すなど交流しました。

川﨑氏、重松氏からそれぞれ、「建築の中でのアクションラーニングについては考えたことはなく、スペースについても新しい視点を得ることができた」「今までにないような発想を得ることができ、一緒に何かできれば嬉しい」という言葉でこの会を締めくくりました。 この対談をもって重松氏の全5回、饗庭氏の全4回の対談が終了しました。
最終回は重松氏と饗庭氏それぞれの対談から見たワクワクする東京の未来を、都心・郊外の視点から語り合います。
イベント開催日は間もなく公開予定です! 楽しみにお待ちください。
【イベント概要】
・日時:2021年3月31日(水) 20:30〜22:00
・コーディネーター:重松健(Laguarda.Low Architects 共同代表 /inspiring dotsファウンダー)
・ゲスト:川﨑レナ(ユーグレナ Chief Future Officer:最高未来責任者)
・モデレーター:矢野拓洋(シティラボ東京)
・主催:シティラボ東京(一般社団法人アーバニスト)
【タイムライン】
20:30~20:40 イントロダクション
20:40~21:40 プレゼンテーション / トーク
21:40~21:55 Q&A
21:55~22:00 クロージング
22:00~22:30 アフタートーク
【登壇者プロフィール】
◆コーディネーター
重松健(Laguarda.Low Architects 共同代表 /inspiring dotsファウンダー)

2005年東京大学社会基盤工学科景観研究室卒業。2005年から2010年 Laguarda.Low Architects Dallas。2010年Laguarda.Low Architects New York設立。共同代表。人々の体験をデザインするということを軸に世 界25ヵ国でマスタープランから複合施設の建築設計までを行う。2018年より、inspiring dotsを立ち上げ、テクノロジーをはじめ多様なツールで社会課題の解決を目指す。都心環状線を緑とパーソナルモビリティーのイノベーション特区にする「東京G-LINE」、日本の水路を水上交通のイノベーション特区にする「東京B-LINE」を提唱。テレビ朝日「あいつ今何してる?」 Abema Prime、News Pick The Update等出演。 ◆ゲスト
川﨑レナ(ユーグレナ Chief Future Officer:最高未来責任者)
大阪府のインターナショナルスクールに通う15歳。趣味はミュージカル。
2011年よりWWFユースメンバー、特定非営利活動法人JUMPのワークショップ選抜メンバーなどを務めるほか、アース・ガーディアンズ・ジャパン創設しディレクターなども務めている。2020年10月より、ユーグレナCFOを務める。
第1回レポート 建築家 重松健×ライゾマティクス・アーキテクチャー 齋藤精一
第2回レポート 都市計画家 饗庭伸×建築家 藤村龍至
第3回レポート 建築家 重松健×作家 乙武洋匡
第4回レポート 都市計画家 饗庭伸×哲学者 篠原雅武
第5回レポート 都市計画家 饗庭伸×コミュニティデザイナー 山崎亮
第6回レポート 重松健×石山アンジュ×重松大輔
第7回レポート 重松健×小橋賢児
第8回レポート 饗庭伸×羽藤英二