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【Event Report】サステナブルシティ・サミット4  サステナブルシティへの創造的アプローチ〜アジャイルな積み重ねの先に見えてくるもの

注)長文(約10,000字)となってしまいました!
PDFバージョンもこちらからダウンロード可能です! ⇒ Download PDF

1.サスティナブルシティ・サミット4とは?

▼「サスティナブルシティ・サミット」とは?

“サステナブルビジネス”と“まちづくり”の両側面から、持続可能な都市の形成に向けて複数の重要なテーマを掲げ、相互に触発しながら、サステナブルシティに向かう包括的な道筋を模索していくシティラボ東京のオリジナルプログラムです。

サステナブルシティの実現に取り組む仲間を見つけたい、自分のビジネスやまちづくりにフィードバックしたいという想いを持つ皆さまへ、新しい社会に向けたモデルを共につくっていく場を提供するものです。

▼サスティナブルシティ・サミットの沿革

第1回(2020年12月)では、COVID-19という激動の状況下、予測不可能性が高まる社会における持続可能な都市の姿を探り「変化を受け止めながらサステナブルを目指す」必要性が浮かび上がりました。

第2回(2022年2月)では「まちづくり」と「ビジネス」の積極的な融合を目指してセッションを行う中で個々人の働き方に議論がフォーカスされ「起業的サステナブルまちづくり」というキーワードが挙がりました。

第3回(2023年3月)では、一人ひとりが本来持っている創造性を十全に発揮できる社会のあり方をディスカッションするなかで「創造的でアジャイルな取り組みの積み重ね」の先にあるサステナブルシティというビジョンを描きました。

▼サスティナブルシティ・サミット4のねらい

今年度のサミットでは、今までに描いてきた社会像をふまえつつ、新たな知見と発見を加え、サステナブルシティに向かうためのアプローチを探ります。積み重ねられた「アジャイルな取り組み」がつながり円環的な関係を構築しながら「社会的なビジョン(サステナブルシティ)」を描くプロセスは、まちづくりやビジネスを含む社会的な「行動変容」を生むのではないでしょうか。

この「アジャイルな取り組み」を”ドット”に見立て、「ドットを打つ/つなぐ」という視点で「サステナブルシティへの創造的アプローチ」を捉える6つのセッションを繰り広げました。

▼開催概要

名称:サステナブルシティ・サミット4 サステナブルシティへの創造的アプローチ〜アジャイルな積み重ねの先に〜

日時:2024年2月17日(土)13:00〜19:00

形式:シティラボ東京現地とオンラインによるハイブリッド開催

主催:シティラボ東京、サステナブルシティ・サミット実行委員会

協力:株式会社伊東商会、特定非営利活動法人日本都市計画家協会

URL:https://www.sustainablecity-summit.jp

2.各セッションレポート

Photo : Nozomu Ishikawa( @nozomui )

オープニングセッション:サステナブルシティへの創造的アプローチ

  • 伊藤 大貴(株式会社ソーシャル・エックス共同創業者/合同会社 million dots 代表社員)
  • 松村 大貴(ハルモニア株式会社 CEO)
  • 中島 直人(東京大学工学系研究科都市工学専攻 教授) ※コーディネーター

オープニングセッションでは、「ドットを打つ/つなぐ」実践例として、都市とビジネスの境界で創造的な活動領域を切り開いている伊藤大貴さん、また、スタートアップとして実践を積み重ねながら「行動変容」をフレーミングしている松村大貴さんのお二方より、キーノートトークをいただきました。

伊藤さんは、「官民共創」というコンセプトのもと、ソーシャルインパクトとリターンを実現させるスタートアップ支援プログラム「ソーシャル・エックス アクセラレーション」を公開したところです。実は、このプログラムは最初から全体像があったのではなく、企業向けの「逆プロポ」を皮切りに、自治体向けの「コンシェルジュ」、社会課題を共有するデータベース「Voice」という各サービスが準備開発されながら構築されてきたとのこと。”ドット”を打ち、つなぎながら大きなうねりに結実してきたと言えそうです。ただし、忘れてはいけないのは、当初からパブリック、プライベートの両セクターが目線を揃えて価値を創っていく世界観はぶれていないということです。

各サービスのつながりにより形成されたプログラムの例(伊藤さんスライド)

松村さんは、ダイナミックプライシングをテーマにしたスタートアップとしてハルモニアを立ち上げ、近年はより包括的な「行動変容」をテーマとしています。サステナビリティを始め複雑で多様化する今の世界では、行政、企業、個人とも三すくみで「鶏と卵」な状態になり行動変容が進まないことが多々あります。自分から変わることで相手の行動も変えながらそこを突破する、システムを考えていくことが、行動変容の基本的な考え方です。トークでは、「計画性と自発性」という全体像、「動機とコスト」というアプローチなど、行動変容のポイントを紹介いただきました。ただし、大事なことはテクニックよりも、構造を観察し、理解することであるということも、重要なメッセージです。

サスティナブルシティにおける自発性と計画性との関係(松村さんスライド)

ディスカッションでは、まず「計画性と自発性」の関係から口を切りはじめました。いわば「ドットをつなぐ」ポイントと言えそうです。計画性だけでは、パッと見は正しく見えても、魅力に欠けて結局は人が居なくなってしまい都市・組織・事業として継続しなくなってしまいます。一方、自発性だけではアジャイルに動けてもその先にある正しさは読めません。両者をつなぐ役割が必要であり、それは「官民共創」における伊藤さんの実践であったり、「行動変容デザイナー」を育成する松村さんの取り組みだったりするのでしょう。サミット3で挙げられた「ジェネレーター」(自ら行動して周りに影響を与えていく立場)にも通じるものがあります。

最後に、続く各セッションに向けて、登壇者・コーディネーターから参加者への期待が語られました。松村さんからは、「他の分野」からの学びは大きいが単なるソリューションのコピーではなくいったん抽象化して自分の状況に応じて具体化していくという視点。伊藤さんからは、ギャップが大きいところにこそ一気に進む可能性があり、「これからの非常識」に着目して方法論を探る視点。これらは「ドットを打つ」ためにも重要な視点と感じます。[文:平井]

A-1セッション:人の意志にドットを打つ〜「ついやってしまう」から始まる行動変容

  • 玉樹 真一郎 (わかる事務所 代表)
  • 佐藤 純一(面白法人カヤック グループ戦略担当執行役員)
  • 羽鳥 徳郎(株式会社TBM 執行役員 Chief Sustainability Officer) ※コーディネーター
  • 古谷 栞(株式会社 地域計画連合) ※コーディネーター

サステナビリティやまちづくりは「正しい」ことであるからこそ、「こんな問題がある」「こんなビジョンを目指さなきゃ」という啓発的なアプローチに多くの資源を投じてきました。ただし、それだけでは動かない人が居るのも事実です。より大きな変化をもたらすには、興味がない人でも行動が変容してしまうアプローチも必要ではないでしょうか?
任天堂「Wii」の企画開発で中核を担い、ゲームに込められた体験のデザインについて分析されている玉樹さん、広告やゲームの世界を実際の街に持ち込んでユニークな活動を行っている面白法人カヤックでグループ戦略に携わっている佐藤さんより、「ついやってしまう」体験設計の可能性とポイントを探りました。

玉樹さんは「この話は役に立ちません」という刺激的なタイトルで、「役に立たない」(生活の必需品ではない)が「行動」してしまうゲームデザインの実例。また、その背景には、人は自分の思いに従って仮説を立て、それが検証された時に面白いと感じるといった、自発的な体験デザインのポイントについて紹介しました。

自発的な体験を促す直感のデザインの構造(玉樹さんスライド)

佐藤さんは「ついやってしまう、カヤックの日常」というタイトルで、カヤックの多種多様な事業の中でも「ついやってしまう」という視点から、「うんこミュージアム」「カップヌードルのダブルタブ
」「スーパー野田ゲーWORLD」など、つい広めちゃう、つい推しちゃう、つい仲良くなっちゃうような事例を紹介しました。早い、安いといった共通的価値ではなく、コンテンツごとに特有の価値観を持つ「コンテンツ的価値創造」により愛着が生まれることがポイントのようです。

コンテンツ的価値創造の説明(佐藤さんスライド)

これまでサステナブルシティの議論は、サステナブルであることを「知る」→「行動する」という順序でした。面白いことや楽しいことを「行動している」→その背後にある意味を「知る」という順序をつくることで、サステナブルシティに向けた”ドット”に多くの人を巻き込んでいくことができる可能性を感じました。取り組みたくなる小さな問題をつくる、あえて間違うことでツッコミを誘うなど「行動している」状態に巻き込んでいくためのアクションはたくさんありそうです。

面白い、楽しいといった人間の本能、格好いい、かわいい、もったいないといった既存の行動原理があった上で、どのようにサスティナブルシティにつなげていくか。「サステナ」ぶらないこと、「まちづく」らないことが、企画側の腕の見せ所かもしれないと思わされるセッションでした。[文:西]

B-1セッション:都市にドットを打つ~異分野から学ぶ都市にドットを打つ作法〜

近年、日本の都市空間では“アジャイル”な取り組みの積み重ねから都市を変貌させるタクティカル・アーバニズムの考えが浸透し、全国各地で実践が見られるようになっています。実はアジャイルという言葉はIT分野から生まれた言葉です。また、地域医療の分野でもアジャイルに通じる活動が見られます。都市が抱える問題の解決や目標の達成に向けた行動に当たり、これらの分野から「都市にドットを打つ」ヒントを炙り出してみました。

石田さんは建築家・プランナーとして、都市空間に様々な”ドット”を打ってきました。都市計画では、従来の「つくったものを使う」考え方から「使われるものをつくる」考え方への転換期を迎えています。そのために、将来どう使うかという「ビジョン」を描きつつ、従来は後回しだった「運営マネジメント」の検討を先行し、将来的に成り立つのかを「社会実験」で確認していきます。社会実験を”ドット”と捉えた場合、①データによる裏付け、②成功体験の共有、③ビジョンの作成・共有の3つが”ドット”をつなげるキーワードではないかというのが、都市空間でアクションを行ってきた石田さんの考えです。

都市計画、まちづくりにおけるアジャイルとは(石田さんスライド)

吉田さんはアプリ・ウェブ開発を主事業とする株式会社ゆめみで、サービスデザイナーを担っています。IT領域では年々加速するマーケットや事業環境の変化を背景に、伝統的なウォーターフォール型に対し、短いスパンで価値を世の中に出せるアジャイル型の開発手法が21世紀に生まれました。独立した最小単位のサービスが疎結合な状態で別れている「マイクロサービス」が特徴で、機能がひと塊りな従来のサービスに比べて部分的な変更が加えやすく柔軟性があります。また、開発プロセスにおいても、小さな意思決定と小さな失敗の積み重ねが特徴で、組織に変容をもたらす価値があるとのことです。

マイクロサービス化するIT領域でのシステム開発(吉田さんスライド)

守本さんは内科の医師でありながら保健所の企画課に勤めており、ケアという観点から地域の健康を啓発する活動に携わってきましたが、「医療」では人は集まらないという結果に出会い、また、「楽しい・美味しい・オシャレ」の要素が人を集めると考え、自身のことをあえて医師とは言わず、屋台でコーヒーを提供する活動を始めました。単にコーヒーやおしゃべりを楽しむ人も居ながら、健康相談をする人も居る。まちに「小規模・多機能な公共空間」を埋め込む”ドット”と言えそうです。また、本棚をシェアするコミュニティ図書館として、多様な方が自然にゆるくつながる場もつくっています。

ケアにもつながる小規模・多機能な公共空間 (守本さんスライド)

ディスカッションでは、小さなアクションを繰り返しながらそれぞれが緩くつながること、またその小さなアクション一つにもビジョンやコーディネーター的役割も不可欠であることなど民主主義的なムーブメントが共通点として確認できました。一方、初期段階ではイノベーティブな発想が発端となることもある、都市計画の様な公的な分野では小さなアクションを打つ過程でも透明性が求められるといった特徴もあり、各分野の要素を取り入れる上での課題となりそうです。[文:右田]

A-2セッション:地域×ビジネスでつなぐ〜ビジネスでつなぐサステナブルな地域の未来

  • 長谷部 信樹(株式会社AGORA 代表取締役CEO)
  • 大久保 泰佑(株式会社narrative 代表取締役)
  • 中川 あゆみ(株式会社フジタ) ※コーディネーター・司会

人口減少問題に警鐘を鳴らした「増田レポート」から10年、官民総出で地方創生に取組んできたが、消滅危機は変わっていないのではないか、また、補助金頼みになっていないだろうか?サステナブルな地域をつくるためには、地域の特徴・物語を仕事化し、地域内での好循環を生みつつ域外からも人を呼び込むような仕組みづくりが大切であるという仮説のもと、地域におけるビジネスを「特別なもの」と捉えずに展開している実践者と共に、そのポイントと未来像を探りました。

長谷部さんは、東京と神奈川にまたがる武相地域を中心にコワーキング・インキュベーション事業を展開しています。この事業は、もともと勤めていた飲食事業が行っていたもので、単体の収益性は低くてもこの様な場が武相地域に必要だという会社の考え「ビジョン出店」に賛同して運営を行ってきました。その後、事業を独立して黒字化にも成功します。産・学・金、各々の事業者がその価値を再発見して協働に至ったことも大きな要因とのことです。

AGORAのミッション・ビジョン・バリュー(長谷部さんスライド)

大久保さんは、政府系金融機関にてまちづくり事業をはじめ数々のファイナンスアレンジメントの実績を積んできました。誘われるままに案件に関わったことをきっかけに起業、現在は奈良県を中心に古民家まちづくりやガストロノミーなど、文化財を活かした地方創生事業を進めています。そのために、ファイナンスだけでなく設計やマーケティングなど様々な分野から支援できる専門家集団を組織しています。

多様な用途開発と自社バリューチェーンの掛け合わせ(大久保さんスライド)

二人とも、地域活性化への想いは根底にありつつ、基本的にはビジネスやファイナンスのスキルを通じて地域に関わっています。市場規模が大きくない地域では、マスで戦うのではなくニッチ・ゲリラ戦略で戦うのが基本となり、地域の魅力やその底にある物語、人間関係といったアセットを徹底的に分析、連携、活用が事業戦略の上からも重要なのではないでしょうか。

本セッションのテーマであるサステナブルな地域への答えは、二人とも「ビジネスを主体に考え、そのビジネスが持続可能であること」でした。ビジネスを持続していくためには稼げることを当然重視しますが、地域における取組ではともすればそこがないがしろになってしまうことも多いように思えます。地域への愛着と生業の両立、当然のことではありますが、それを高いレベルで両立させることの意義と成果に改めて気づかせてくれたセッションとなりました。[文:赤石]

B-2セッション:活動や資源を循環させる~循環プロセスでの新陳代謝

  • 濱田 芳治 (多摩美術大学 美術学部 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻 教授)
  • 小島 幸代 (RINNE PROJECT 代表/ リンネバーオーナー)
  • 鈴木 高祥 (合作株式会社 取締役/株式会社カゼグミ代表取締役)  ※コーディネーター
  • 小田切 裕倫(一般社団法人GBPラボラトリーズ 副代表理事 運営責任者) ※コーディネーター

人口減少やモノ余り社会の中、従来のように「つくり、すてる」経済のあり方は、サステナビリティの問題だけでなく変化するビジネス環境への対応という視点からも見直していく必要があります。では、サービスやモノが循環していくための条件はどこにあるのでしょうか?逆に言えば、どのような時に循環が止まってしまうのでしょうか?

濱田芳治さんは、多摩美術大学で「すてるデザイン」プロジェクトを進めています。これは「すてるモノ」、「すてる前提」、「すてるエコシステム」の3つのフェーズから循環型社会を目指すデザインプロジェクトです。「格好いい、面白そう」と思わせるアップサイクルプロダクト、最初から分解やリペアが可能な構造、従来であればゴミになる資源を素材として見直す動静脈連携の事業など、様々な形で循環に果たすデザインを紹介いただきました。

「すてるデザイン」3つのフェーズ(濱田さんスライド)

小島幸代さんは、「リンネバー」というアップサイクルバーを運営しています。廃材を素材として見直すことは、固定観念を捨てるアンラーニング、廃材をきっかけにつながる会話、付加価値をつける能力への喜びや価値の認識など、子どもの頃には誰もが持っていたはずのクリエイティブな自信を取り戻す効果があります。素材を提供してくれる人、常連さん、店の価値を伝えてくれる人など、関わる人たちと共にサービスをつくっていくこともポイントのようです。

リンネバーサービスデザインの考え方(小島さんスライド)

両登壇者に共通していたキーワードは「バックキャスティング」。この先がどうなったらよい/素敵かというビジョンと具体的なプロダクトをつなぐサービスデザインが、手触り感をもって循環社会を進めていくアプローチとなっています。また、社会的な状況や人の心理といった”ドット”はタイミングによって点いたり消えたり変化することもあります、うまく点いている瞬間にドットをつなぎ、ビジョンに乗せていくかが「新陳代謝」であり、循環社会にも求められることなのではないでしょうか。

また、新しいドットを点けるためは、若い世代や異分野と「まぜる」多様性も有力なアプローチになりそうです。逆に、面白がるユーモアがない状態、ビッグワードで最大公約数的に共感している状態、学んだことを活かせない状態…といった際に循環プロセスが止まってしまうようです。デザインは必ずしもデザイナー(専門家)だけの専売特許ではありません、誰もが身近な問題をデザインで解決するような草の根運動が、文化としての循環社会をつくっていくための基盤になると勇気づけられるセッションでした。[文:平井]

クロージングセッション:ドットがつながる瞬間〜未来への社会的アクションに向けて〜

  • ・小泉 秀樹(東京大学大学院まちづくり研究室 教授)
  • ・各セッションコーディネーター(羽鳥 徳郎/古谷 栞/石田 祐也/鈴木 高祥/小田切 裕倫/中川 あゆみ)
  • ・中島 直人(東京大学工学系研究科都市工学専攻 教授) ※コーディネーター

クロージングでは、各セッションの議論を持ち寄り、様々な試行としての”ドット”がつながる瞬間、また、ビジョンに向けて社会的なアクションを加速させるための条件をディスカッションしていきました。

各セッションの振り返り

冒頭にはコメンテーターの小泉さんより、「社会全体では何らかの”ビジョン”が必要であり、同時に適度な距離感で多種多様な取り組み(”ドット”)をどのように打っていけるか」が各セッションで共通する論点との見解が示され、各コーディネーターに対して、以下の2つの質問をコーディネーターに投げかける大喜利形式で進めていきました。

(1)ビジョンは誰がどう描くのか?

鈴木さん(B-2セッション)からは大崎町でビジョンマップをつくった経験をもとに、石田さん(B-1セッション)からは四日市エリアプラットフォームのビジョンづくりの経験をもとに、「ゼロベースでは当事者視点と外部の視点の両方がないと構造的にならない。ビジョンを作成する人数が多すぎてもだめで、まず責任をもって誰かがたたき台を描き、地域でアップデートしていくプロセスが重要」との考えが共有されました。

これに対し、羽鳥さんと古谷さん(A-1セッション)からは、「人の喜びや楽しみ、クリエイティビティを発揮するためには無理にビジョンを持ち込む必要はなく、アクション先行でビジョンを見出していく流れもあるだろう」との見解が語られました。

ビジョンを描く起点となる”ドット”、実はどこからでも打てるのかもしれません。ただし、それを戦略的に”ビジョン”にしていくためには、専門領域と非専門領域、問題解決と意味形成など、多様な立場の人や社会につないでいくことが必要となります。

ビジョンを描くための”ドット”を打つ可能性がある領域(小泉さんスライド)

(2)行動変容デザイナー(”ドット”を打つ人)をどう増やすのか?

中川さん(A-2セッション)からは、”ドット”を打つ人がそのアクションを継続していくためにはビジネス化や人材確保が必要であり、それらを支援するサービスや専門家などの必要性について共有されました。

小田切さん(B-2セッション)からは、「新たに”ドット”をつくれる人はそう簡単には出てこない、”ドット”をつくったら誰かにあげるのも1つの手ではないか、また、鈴木さんから、「新しいことばかりするのではなく、真似をしてスケールを大きくするのでも良い」との見解が語られました。

“ドット”を打つことがうまい人、育てるのがうまい人、真似るのがうまい人…、色々な可能性を見出していくことが必要です。また、サポートを行えるサービスや制度、場といった中間支援も重要で、”ドット”を増やすサービスデザインには両者の視点が必要そうです。

(3)未来への社会的アクションに向けて

本サミットのテーマは「サスティナブルシティへの創造的アプローチ」でしたが、「社会的アクション」という視点を加えたことで、個人が一人でクリエイティブになるだけではなく、多くの人を巻き込みながら価値をつくっていく「共創」のアプローチに関する議論に行き着きました。

“ドット”を打つこと、つなぐことへの中間支援の必要性についても議論されましたが、中島さんからは「サミットやシティラボ東京も中間支援的なところを目指す場であり、このような場が増えていくと創造的なアプローチを支える社会的インフラとなるのではないか」との見解も語られ、本サミット自体は終了しました。

グラフィックレコーディング:和田健

思えば、2020年12月に始まったサステナブルシティサミット自体も、COVID-19を契機とした「変化」というキーワードから始まり、「働き方」という論点の抽出、働き方に必要な「創造性」という価値観の導入、さらに創造性を「社会的アクション」に変えていくアプローチへと”ドット”をつなぎながら共創型で議論を深化させてきました。

一連のセッションを通して得られた知見は別途整理していきますが、大事なことは、より多くの人を巻き込みながらサスティナブルシティに向けた行動変容を加速していくことです。次の段階では本プログラム自体も形態を変化させながら新たに未来へのアクションに挑戦していくのかもしれません。[文:右田]

※サミットお申し込みの方は2024年3月31日まで見逃し配信で、また、シティラボ東京会員の方はアーカイブにて各セッションの動画をご覧になれます。