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【Special Report】シティラボ東京メンバーと行く真鶴・小田原の旅 ②小田原編

2024年4月13日〜14日、シティラボパブリックパートナーである真鶴町と、お隣の小田原市へ視察に行ってきました。“真鶴編”に続いて、今回は“小田原編”をお届けします。

真鶴編はこちら:https://citylabtokyo.jp/article/2024/05/14/manazuru_1/

 

小田原は神奈川県西部に位置する人口約19万人の施工時特例市(平成27年4月1日の特例市制度廃止時点で特例市であり、中核市の要件に満たないが一定の権限が与えられている)です。東京から電車で1時間、新幹線なら30分とアクセス良好なまちですが、箱根に行くときの経由地というイメージの方も少なくないのではないでしょうか?観光の目的地として、またビジネス創出の観点でも魅力いっぱいの小田原についてご紹介していきます!

▼小田原の隣駅、早川漁港エリア

実は小田原の大ファンで何度も小田原まち歩きをしている筆者ですが(シティラボにゆかりある皆さんをご案内できて嬉しい!)、この日のまち歩きは、東海道線で小田原駅から一駅の早川からスタート。駅を降りてすぐに早川漁港に出られます。漁港がお休みの日でも港内には漁船が並び、周辺には鮮魚を楽しめる店や食べ歩き商品を販売する店もあるので、まち歩きのお供をゲットするには最高です◎

早川駅から徒歩10分ほど、「漁港の駅TOTOCO小田原」には魚だけでなく、小田原の名産品であるレモン等柑橘類、梅、地元商店のみそを生かした商品や、障がい者支援団体アールドヴィーブルの方がパッケージデザインをしたお菓子、未利用魚を利用した加工品が並びます。

▼職人のまち、箱根板橋エリア

早川漁港から徒歩20分、箱根登山鉄道で小田原駅から一駅の箱根板橋駅に辿り着きます。このエリアは文化的な建物や寺社仏閣も多く、古くは職人の町として栄えていた歴史もあります。リノベーションにより建物の魅力を活かして営む素敵なお店も集まるこのエリア、「旧三福不動産」という物件の魅力を引き出したリノベーションを得意とする不動産業者が一役買っているようです。旧三福不動産の社是は『不動産のフは フフフのフ』。箱根板橋エリアだけでなく、小田原全域を対象に物件を扱っており、素敵なリノベーション店舗を見つけるとバックには旧三福さんの存在が見え隠れします。

中でも今回ランチをした薬膳喫茶 KURAは、昭和初期に建てられたレトロな洋館をリノベーションしたカフェで、小田原市観光課にて長くお勤めされたマスターが営んでいます。フォトジェニックが流行る今日この頃、マスターが観光課時代に蓄えた“映え”アイデアの数々が空間にもメニューにも活かされ、何とも満たされる喫茶でした。小田原の物的資源と人的資源の豊富さ、見事なマッチングを感じさせる事例ですね。

▼箱根口ガレージ報徳広場

箱根板橋エリアから小田原市街地に向けて徒歩15分、国道一号線沿いには、老舗のういろうやカフェ・ベーカリー・書店などユニークな店が立ち並びます。中でも「箱根口ガレージ報徳広場」は、報徳二宮神社の草山宮司が運営する報徳仕法株式会社による事業で、レストランを夕方から地域食堂とし、会員制にて近隣住民の方が廉価で利用できるといった、地域コミュニティを形成する拠点となっています。

なお、本事業は、令和2年(2020 年)3月に、新規性・モデル性の極めて高い事業として総務省の地域経済循環創造事業交付金に採択された、小田原「歴史的資源を活用した観光活性化と3世代が集う地域コミュニティ形成の循環型南町SDGs推進事業」の支援も受けています。箱根口ガレージでは、レストランを夕方から地域食堂とし、会員制にて近隣住民の方が廉価で利用できるとのこと。
(令和2年小田原市議会6月定例会総務常任委員会資料より)

報徳広場内のシンボルは、元々小田原市内を走っていた路面電車です。市内電車が廃止になった後、長崎電気軌道に譲渡され長崎のまちを走っていた車両を小田原市内に里帰りさせるプロジェクトが数年前に立ち上がりました。有志がクラウドファンディングにて資金調達し、今に至ります。報徳広場の隣にできた本屋「南十字」とも景観的にマッチしています◎本屋の一角には小田原のまちで暮らす皆さんがおススメする本を閲覧できるスペースもあり、地域に触れることができます。

▼老舗かまぼこ屋のアイデアが光るかまぼこ通り

報徳広場から徒歩5分、旧東海道から海側へ一本入ると、老舗のかまぼこ屋さんが立ち並ぶ「かまぼこ通り」があります。豊富な漁場に恵まれていたことから、蒲鉾や干物、削り節などの水産加工業の集積地として栄えていましたが、近年は観光客がかまぼこ通りや海辺まで足を運ぶことも少なくなっていました。かまぼこ屋若旦那を中心にかまぼこ通り活性化協議会を設立し、10年ほど前から店先の空間再編やイベントの企画を精力的に取り組んだ結果、現在はかまぼこ・さつま揚げとビール・日本酒を片手に通りを散策する人で溢れています。

かまぼこ通り周辺には、かまぼこ屋以外の店舗も年々増えてきています。パン屋、ジェラート屋、ラーメン屋など豊富なラインナップな中、特にケントス珈琲はコーヒーの味ももちろんのこと、海へ抜けるトンネル(西湘バイパス高架下の通路)に近い好立地を捉えてハンモックなど海でののんびりグッズを貸し出している素敵な珈琲店です◎

▼お好みの一品を片手に海へのトンネルを抜けて

筆者と小田原との出会いは10年ほど前に遡りますが、その頃は小田原=城のイメージが強すぎて、海まで足を延ばす人は多くありませんでした。海へ抜けるトンネルの存在も一部の人が知るのみで、とっておきの場所を知っている特別感すら覚えていたものです(笑)。今となっては、かまぼこ通りの活発な取り組みやSNS効果も相まってトンネルの存在は広く知れ渡り、いつ行っても若者を中心に多くの人が訪れる場所となりました。

この日もかまぼこ通りの鱗吉さんで買った自然薯棒と湘南ビールを片手に海へ!何度でも来たい最高な最終目的地です。

▼飲食店や土産物屋だけじゃない栄町エリア

かまぼこ通りから徒歩10分程、小田原駅に向かいながら栄町エリアへ。ブックトークや店のガレージを使った朝市で賑わう平井書店、ギョサン(漁業サンダル)で有名な松下靴店など、地域に根付くお店が並びます。先に登場した旧三福不動産の事務所もこのエリアに。住むにも店を出すにも暮らしやすそうなこのエリア、少し空き店舗が目立つところもありますが、魅力が益々増している小田原にとってはポテンシャルの一つかもしれません。皆さんも転居先、二拠点居住先、移転先にいかがですか?

▼徒歩移動で楽しめる魅力いっぱいの小田原

実は小田原は徒歩圏内に見所が詰まった、“歩いて楽しいコンパクト+ウォーカブルなまち”ということが伝わったでしょうか?城という大きな観光名所を持ちながらも、小田原の真の魅力は暮らしの中に溶け込む名所、こだわりの空間、店の数々です。SNSを通じて以前よりも隅々まで人が訪れるようになりました。素敵な写真もたくさん撮れる魅力的なまちです。加えて是非、その場を運営する方やまちのキーマンたちとの会話も楽しんでほしい。きっと徒歩で移動できる次の目的地を教えてくれます。

文:右田 萌

写真:今井 里紗